◆基準内なら石綿含有でよいのか?
石綿「不検出」だったとする回答もあったが、少なくとも筆者が協力を得た分析機関では、きちんと公定法かつ再現性がある方法で石綿の検出ができている。石綿であることを示す顕微鏡写真も存在するし、筆者自身もその場で改めて分析し直してもらってもやはり同じ結果を確認している。このような状況から、石綿を検出した7製品について不検出との結果を出している分析機関はよほどの事情がない限り、石綿を見落としているとみてまず間違いないだろう。
今回の独自調査とそれにともなう取材で明らかになった事実としてとくに重大なのは、カラーサンドなどが少なからず学校などで教材として使用されていることだ。
石綿検出をした製品の販売元には、学校教材などを企画・販売している会社が複数含まれている。講談社の製品にカラーサンドを提供していたアーテック(大阪府八尾市)は「何十年も前から学校教材として中学、高校の美術のカタログに載っています」と明かす。
マジックサンドは散らばりにくいので幼稚園などで屋内の砂遊び用として利用されているとも聞く。
厚生労働省は「いまのところ基準超の石綿を含むカラーサンドなどの製品について報告はない」(化学物質対策課)と安衛法の石綿障害予防規則(石綿則)第50条に定められた製造・輸入業者に対する基準超の場合に「遅滞なく」報告する義務に関連して説明。
同省は「法令上の違反が確認できない限り指導は難しい」(同課)と歯切れが悪いが、「基準超の場合は必要な措置について、厳正な対応をさせていただく」(同)との見解だ。
ただし同省は定性分析で石綿を検出した場合、定量分析なしに基準超とみなしてよいと通知で示しており、担当者は「基準内でも石綿を含むのであれば、事業者の自主的な判断で流通していただかないほうがよい」と個人的な意見も付け加えた。
石綿被害者の支援などに取り組むNPO(特定非営利活動法人)、中皮腫・じん肺・アスベストセンターの理事長、名取雄司医師は「カラーサンドなどに直接石綿繊維が入っているなら飛散し、それを吸ってしまうおそれがある。法令上は違法ではないのかもしれないが、子どもが扱う製品で吸入する可能性があるものについて、十分安全性をチェックせずに販売してきたのは倫理的に問題ではないか」と指摘する。
仮に基準を超えないとしても、石綿繊維が直接混ざっている以上、遊んでいたら吸ってしまう可能性がある。すでに述べたように石綿ばく露は年齢が低いほど将来的な発がんリスクが高まることが知られており、微量であっても子どもが使う製品に吸入する可能性のある石綿が含まれているなどあってはならない。
基準内であってもカラーサンドやマジックサンドに石綿が含まれている場合、子どもの健康リスクを考慮し自主回収すべきだ。国は早急に警告を発し、対応をうながすべきだ。
「国際的に40年遅れ」である日本の規制や水際対策の不備が全面禁止から十数年経ったいまも子どもに石綿を吸わせる状況を生んでいる。これ以上放置することは許されない。
【関連資料】独自調査したカラーサンドなどのアスベスト分析結果詳細や顕微鏡写真






















