◆今後のばく露を最小限にする対応必要

厚生労働省など国の機関が消費者向けに警告や対応方法について解説していないので、豪政府が公表した対応もふまえて解説しよう。

まず現状認識としてオーストラリア石綿・シリカ安全根絶庁の発表には次のように記載されている。

「健康へのリスクが低いという初期の兆候はありますが、あらゆる潜在的なばく露に対して予防措置を講じることが重要です」

「石綿にばく露したすべての人が石綿関連疾患を発症するわけではありませんが、ばく露のたびにリスクが高まるため、さらなるばく露を最小限に抑えるための対策を講じることが重要です」

若干解説すると、「健康へのリスクが低い」との記載は、現状では「初期の兆候」とされ、初期段階で明らかになった限定的な分析結果によるもので確定的ではないとの意味合いだろう。また製品の石綿含有率も低めで、たとえば労働者が石綿を直接扱ったり、石綿を含む建材を切断したり、といった作業に比べれば明らかにリスクは低い。

石綿による発がんリスクは「吸入性の石綿のばく露濃度×ばく露期間」をもとにざっくり試算できる。仮にばく露濃度が低くても、何十年も吸い続ける長期ばく露の場合、深刻な場合もある。今回は含有率が低いとみられることから、ばく露濃度もそれほど高くないと推測され、ばく露期間も労働者などと違って短いだろうから限定的ではないかということだろう。

すでに述べたように年齢が若いほど将来の発がんリスクが高まるとされ、低年齢のばく露は重大だが、心配しすぎない材料になれば幸いだ。

一方、発じんさせれば飛散し、ばく露の可能性があるのも事実。石綿を吸ったすべての人が関連疾患を発症するわけではもちろんないが、吸えば吸うほど、発症リスクは高まる。だからこそ今後のばく露を極力減らすための対策が重要なのである。

★新着記事