偵察衛星発射の成功を祝う宴会に、金正恩氏と手を繋いで登場した娘。この時は推定11歳。2023年11月の朝鮮中央テレビより引用。

2026年元旦。金正恩氏は、祖父・金日成、父・金正日の亡骸が安置されている錦繡山太陽宮殿に、初めて金「ジュエ」とされる娘を連れて参拝した。金一族統治、「白頭血統」を象徴する「聖地」に同行させたことで、この娘が四代目の世襲後継者になる可能性が高まったと、日韓の専門家たちは見ている。肝心の北朝鮮の住民たちは、明らかに「少女から大人」へのイメージ転換が進む「金ジュエ」をどう見ているのだろうか? 北朝鮮北部地域に住む二人の取材協力者に聞いた。(石丸次郎/カン・ジウォン

◆4年前の初登場から「天才、金正恩氏を補佐」の噂巡る

「ジュエ」とされる娘が官営メディアに初登場したのは2022年1月。北朝鮮住民にも驚きをもって受け止められた。韓国当局は2013年生まれだと推測している。以来、娘の名前や年齢は伏せられたままで、それを詮索したり、露出の目的について話したりすることは「流言飛語の流布」になるとして厳しく統制されてきた。

一方で、「娘はとにかく頭の良い秀才で、一度見たことは忘れない抜群の記憶力らしい」、「天才、万才で、幼いのに金正恩を補佐しているそうだ」という同じ噂が各地で流れていた。取材協力者たちは、「当局が意図的に流布させていると思う」と評価していた。

初登場から4年が過ぎた今、娘に関する情報や認識に何らかの変化はあるのか。両江道(リャンガンド)に住むA氏と、咸鏡北道(ハムギョンプクド)に住むB氏に尋ねた。

錦繡山太陽宮殿を参拝した娘は中央に立った。左は母の李雪主(リ・ソルジュ)氏。2026年1月1日の労働新聞より引用。

◆今も「ジュエ」という名を誰も知らない

A氏は両江道に住む30代の女性である。

「今でも朝鮮では、あの娘の名前も年齢も、誰も知りませんよ。金正恩ですら公式な年齢を知らせないままです。知らせない理由は、先代指導者たちの業績を継承する人物だからだと言われていますが、正恩がまだ若すぎるからなのかもしれません。知ろうとする人もいませんけど。

(アジアプレスから)『名前はキム・ジュエだと韓国当局は見ている』と聞いたので、あちこちで調べてみましたが、住民たちは知りませんね。『講演堤綱』(住民に対する教育宣伝用の基本テキスト)で言及されることもないですね。もしかしたら幹部たちは知っているのかもしれませんが。

幹部たちは、『(娘は)金正恩元帥様を補佐していて、天才、万才だ』とか、『コンピューターが得意だ』と言っています。(当局が)意図的に情報を流しているのかも知れないけれど」

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