
北朝鮮の咸鏡北道(ハムギョンプクド)で、食糧を不法に流通させたとして貿易会社の社長と農場の幹部が教化(懲役)2年の刑に処されたことがわかった。現地の取材協力者が1月中旬に伝えてきた。金正恩政権は、数年前から主食の米とトウモロコシの市場や個人間の流通を厳しく統制し、国家管理を徹底させている。(石丸次郎/カン・ジウォン)
◆一粒のトウモロコシも移動させるな
「国の承認なくトウモロコシ一粒も移動させるなというのが、今の政府の方針だ」
事件の情報を伝えてきた茂山(ムサン)郡の取材協力者はこのように述べる。それほど、現在の北朝鮮の食糧管理策は強引かつ厳重だ。
兆候は、コロナ・パンデミック下の2020年の半ばから見られた。合法だった市場での食糧取引に当局が介入し、国営の「糧穀販売所」での売買に誘導し始めた。2023年1月からは、市場での食糧流通は禁止され売り場が撤去されたことが、アジアプレスの調査で明らかになっている。
金正恩政権は、食糧の販売を専売店である「糧穀販売所」に一括させる一方、食糧の源である農村から流出しないよう、農場と農民が食糧を持ち出して処分することを厳しく監視するようになった。

◆営農資材買うために生産物売って懲役2年
取材協力者は事件の内容を次のように伝えてきた。
「1月中旬のある日、勤務する職場の朝の読報(朝礼)時間に、当局から通達があった。今年に入り、3トンの食糧を密かに販売したことが発覚してチョンフン貿易会社の社長と七星里(チルソンリ)農場の技師長、仲介した『トンチュ』(新興富裕層、金主の意)の3人が2年の教化刑を受けたという内容だ。
関連した者が多く、検察と安全局(警察)で調査を受けている者がまたいて、教化刑になる者はさらに増えるだろうということだった。既に個人に販売されてしまった分も含め、全て無償没収になったそうだ」
事件に関する通達は、茂山郡の全ての機関と企業で行われたという。
協力者によれば、七星里農場では、営農資材を調達するために食糧を売ったと説明しているという。それを貿易会社が金儲けに利用したため、大きな問題になった。
「今、企業が食糧を取引する場合、(行政機関の)糧政局の承認印がなければ一粒も動かせない。引っかかれば全て没収されるため、どの企業もびくびくしている」





















