収穫が終わったトウモロコシ畑で落穂拾いをする住民たち。拾い集めた穀物を入れるカバンを肩にかけている。家族だろうか。真ん中はまだ中学生のようだ。2025年9月、平安北道の朔州郡を中国側から撮影(アジアプレス)

◆党大会目前で民心に配慮か?

「糧穀販売所」での販売量が増えた理由は何か。次のように考えられる。

・昨秋のトウモロコシの収穫が良好だったこと。
・農村からの穀物の流出を徹底して規制して個人間取引に目を光らせ、「糧穀販売所」での一元取引を強引に進めたこと。
・2月の労働党大会を目前にして、民心を慰撫するために販売量を増やした。

「糧穀販売所」で白米の販売がなかったことについて、「黄海道などの産地から白米がずっと入って来ていない。国が白米の移動を強く規制している」と、調査した協力者たちは口を揃えた。それでも個人間取引で密かに白米の入手は可能だ。

ちなみに、不法な個人間の取り引き価格は、1月23日の調査で、1キロ当たり白米が1万5000ウォン、トウモロコシは3700ウォンだった。

◆販売量増えても買う金が足りない

問題は、購入するための現金収入が不足することだ。金政権によって個人の経済活動が強く規制され、多くの住民が商行為をあきらめ企業に勤めるようになった。都市住民の誰もが現金収入を減らした。労賃(月給とは呼ばない)は国定で、企業や職位によって異なるが、ひと月概ね5万ウォン程度。20キロのトウモロコシを購入するにも足りない額だ。また一般庶民の大部分は、副食や石鹼、衣類などの日用必需品の購入がままならないという。

老人や病弱者だけなど、働き手のいない家庭は現金収入が乏しく、食べ物にこと欠く「絶糧世帯」と呼ばれる。協力者たちによれば、この最底辺の「絶糧世帯」に対して、地方政府がトウモロコシ数キロを無償で支給しているという。

なお、平壌など北部以外の地域の「糧穀販売所」での販売状況について、アジアプレスでは今回情報に接することができなかった。

※アジアプレスでは中国の携帯電話を北朝鮮に搬入して連絡を取り合っている。

北朝鮮地図 製作アジアプレス

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