◆「安全」発表に根拠なし
「基準に適合」する石綿含有について「安全性が確認されている」と発表で主張したのは、「0.1%という基準が定められているのは基準内は安全であるという根拠からだと理解しております」と同社は持論を述べる。
しかし同省は、「0.1%以下なら安全上問題ないからではなく、当時の分析技術の限界や意図的な石綿の添加なら0.1%超といったことから定められた。0.1%以下なら安全とか健康上問題ないと判断しているわけではない」(化学物質対策課)と前出・拙稿で証言。同社の主張を否定している。
石綿の発がんリスクはここまでなら安全との「しきい値」が確認されておらず、とくに石綿ばく露特有のがんである中皮腫(肺や心臓などの膜にできるがんで非常に予後が悪い)は、少量のばく露でも発症する可能性がある。基準内の石綿含有なら安全というわけではないのだ(ばく露が多ければ多いほど発症リスクは増す)。同省の回答はこれに配慮したものである。
新宿労働基準監督署にも確認すると、「(製品の分析結果について)報告を受けているだけ。安全かそうじゃないかの回答はしていない」(安全衛生課)と同社主張への関与を否定。結局、同社のいう「安全」に根拠は見当たらず、勝手な思い込みといってよいだろう。
基準内という石綿の含有率について同社は公表していない。そのこと自体、消費者に対して不誠実といわざるを得ない。
筆者が協力を得た分析機関による国際標準の「JIS A 1481-4」の定量分析では、「ハローキティ」砂絵セットはトレモライト石綿を0.085%含有で、0.1%の基準にかなり近かった。
分析をした技術者は、「何回か(定量分析を)繰り返したら0.1%を超える値が得られることも十分あり得ます」と明かす。
その根拠は統計学的な考察である。今回の分析結果について、100回同じことをすれば、95回はこの範囲に収まるとの統計学的な「95%信頼区間」で考えると、0.042~0.151%の範囲になり、基準超の場合があり得るためだ。単に一度二度分析して基準内だったから問題ないというわけではないのだ。
サンリオとのコラボ4製品について、石綿含有の事実を明記せず、「基準に適合」「安全が確認されている」との記載は、現在の科学的知見を無視した、国も否定している、明らかに間違った主張である。しかも石綿の発がんリスクを無視あるいは軽視させて安全と誤認させる代物でタチが悪い。石綿の隠ぺいといわれても仕方のない安全軽視の対応である。
まして同社のいう「基準内」との分析結果も、どの程度の科学的妥当性があるのかはっきりしていない。そもそも石綿含有にもかかわらず、どの石綿がどのくらい含まれるかを公表していないこと自体、不誠実きわまりない。
一方、筆者が連絡した際、同社はコラボ4製品について、発表した「返金」だけでなく「回収」にも応じると回答した。そうした気持ちがあるにもかかわらず、なぜ消費者に対してウソをつくのか。
発がん性がきわめて高い石綿が含まれた製品を販売し子どもに使わせておいて、説明責任すら果たさないのは許されない。同社は間違った認識のもとで石綿の健康リスクを軽視し、危険性をあえて知らせない対応をした。
以前にも紹介したが、同社ウェブサイトには「弊社の願いは、お子様が健やかに育つことです」とある。本当にそう考えているなら、コラボ4製品について、改めて発表し直し、自主回収の対象に加えるべきだ。最低限、石綿含有の事実を明記せず、事実と異なる「安全が確認されている」との虚偽記載といった安全軽視の対応を謝罪のうえ、改めて石綿の種類や含有率、分析法なども含めて石綿含有の事実を明記するとともにその危険性を説明すべきだ。そのうえで、希望者に返金・回収に応じることも明記するのが当然だろう。
「笑顔あふれる知育商品の開発&販売」を掲げるにもかかわらず、安全軽視の対応で子どもたちや保護者らを裏切り続けるのか。同社の存在意義が問われている。























