◆徹底した原因究明と対策必要

測定結果が正式報告されたのは、2022年測定で12月3日の試料採取から6日後の同9日、2025年測定で11月17日の試料採取から11日後の同28日。実際には速報値が翌日などに知らされているはずだ。

石綿検出を受けた対策を府教育庁に聞くと、2025年について「2回目(の測定)を行いまして、(石綿が)出なかった」(施設財務課)と回答。

たしかに1週間後の同11月24日に別の分析機関による再測定が実施され、定量下限値未満だったことが報告されていた。

通常なら関係者への通知や立入禁止措置のうえで、原因究明、清掃などの対策を講じてから再測定との手順になる。金岡高校では何度も石綿検出が問題になっており、過去にはそうした対応をしていた。ところが今回はいずれの対応もせず放置していた。

測定し直して石綿が出なかったから問題ないということかと尋ねると、「そのように把握しております」(同)と答えた。

正直あまりにも危機感のない対応ぶりに驚かされた。廊下だけ測定し直して、数値が下がれば本当に問題ないのか。原因究明や清掃もない以上、もう一度測定したら再び検出されるのではないか。だからこそ、同じ特別教室棟の4階で6年間に2回検出されているのではないか。

金岡高校の校舎内におけるこの間の空気中からの石綿検出をどう考えればよいのか。

2022年12月の同0.057本は定量下限の0.056本をギリギリ超える微量の検出。2025年11月は同0.51本だが、過去の労働現場に比べれば低いのは間違いない。

とはいえ、吹き付け石綿の対策が講じられていないことが珍しくなかった約20年前ならともかく、一定の措置がされて以降、校舎内の実際に生徒が利用する場所で青石綿が同0.5本も検出されることはめったにない。

環境省が毎年実施している全国数十カ所の調査で、石綿飛散が基本的にない住宅地域の平均はわずか0.088本にすぎない(2024年度調査の同省データから算出)。金岡高校の校舎内(特別教室棟4階)の廊下は、全国平均の約5.8倍になる。

しかも測定した計39件のうち20件(51.3%)で定量下限(0.056本)未満。測定結果の上限と下限は同じく定量下限未満~0.22本と金岡高校における2025年の測定値の半分に満たない。

さらに問題なのは、測定が基本的に年1回のため、どれだけの期間、石綿が飛散していたのかはっきりわからないことだ。

2022年12月3日の石綿検出(同0.057本)では、2回目の測定もないまま放置。翌2023年10月27日の測定で定量下限(同0.056本)未満が確認されている。同様に前2021年10月7日の測定も定量下限未満との測定値がある。

2025年11月17日の石綿検出(同0.51本)の場合は、すでに述べたように1週間後の同11月24日に2回目の測定があり定量下限未満。検出前は2024年10月25日の測定で定量下限未満となっている。

つまり、現存する資料からは、2022年12月の石綿飛散では前後1年(2021年10月7日以降から2023年10月27日まで)、2025年11月の石綿飛散では前1年と1週間後(2024年10月25日以降から2025年11月24日まで)まで安全確認がされなかったことになり、これらの期間中ずっと石綿飛散があった可能性すら否定できない。

学校には比較的長時間また何年も滞在することから、低濃度の石綿ばく露であっても、将来的な発がんリスクが高くなる可能性がある。また青石綿はもっとも発がん性が高いことも懸念される。石綿ばく露による発がんリスクに「しきい値」は確認されておらず、とくに中皮腫(肺や心臓などの膜にできるがんで非常に予後が悪い)は低濃度のばく露でも発症することが知られる。甘く見てよいものではない。

ある石綿調査・分析の専門家は、廊下の空気から同0.51本の青石綿が検出されたにもかかわらず、立ち入り禁止や清掃もしなかった府教育庁の対応を伝えると、驚いたようすで「それは何か起きてるね」と嘆息して、こう話した。

「おそらく落ち面(吹き付け石綿などの破片などが落下すること)などがあって、それを蹴飛ばしたりしてかき回している状況があるのでしょう。測定時だけでなく、生徒が清掃などをする際にも同様のことが起きて、青石綿の飛散が起きている可能性があります。腕の良い調査者が石綿の散乱状況をきちんと調査する原因究明のうえで、きちんと飛散・ばく露防止対策のうえで清掃などをする必要があります」

校舎内などでなにも原因がないにもかかわらず、空気中に石綿が飛散することはない。石綿飛散には必ず原因(発生源)がある。

校舎内のように屋内でこれほど飛散している場合は、測定(試料採取)時にたとえば廊下の隅に堆積した石綿を繰り返しかき回すなどの飛散要因があるとの指摘で、それを踏まえて原因究明の必要がある。そのうえで、原因を取り除く抜本対策が必要だ。

石綿飛散の原因やばく露リスクなどに尋ねたところ、府教育庁から質問を文書で送付するよう求められ、3月23日と24日にメールで送ったが、3月28日午後9時現在回答がない。

大阪府教育庁は徹底した原因究明や再検査、清掃、生徒が居ないタイミングでの吹き付け石綿の除去など抜本対策に踏み出すべきではないか。

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