◆公安警察の市民監視と情報収集は違法の判決
この判決は、人格権の根拠となる憲法13条(幸福追求権)が「個人情報をみだりに収集・保有されない自由も保障」しており、「原告らの活動は平和的だった」として、警察の情報収集は「集会や結社、表現の自由などを保障した憲法21条にも反する」と判断し、その違法性も認めた(『朝日新聞』2024年9月14日朝刊)。
さらに判決は警察による恣意的な情報収集活動について、「法律の規制もなく、監督する第三者機関もないと言及した」うえで、「警察内部の自浄作用が全く機能していない」と断じた。情報の抹消については、「今後提供される恐れがある」として、抹消を県に命じた(同前)。

原告の一人である大垣市の住職松島勢至さん(72)は、「地域の問題について意見をいう、当たり前のことが、警察から危険視される世の中ではいけない。命を守る運動がやっと認められた。うれしい」と語った(同前)。
海渡弁護士は前出の講演のなかで、この名古屋高裁判決を「警察の情報収集活動がもたらす具体的な弊害を指摘」し、「憲法上の人格権としてのプライバシーを深く分析した画期的な判決」と評価している。
「スパイ防止法」=「国民・市民監視法」の暗雲が日本社会に迫るなか、公安警察の国民・市民に対する監視・情報収集の違法性と違憲性を認めたこの判決の意味が、さらに重みを増している。(つづく)
吉田敏浩(よしだ・としひろ)1957年、大分県出身。ジャーナリスト。著書に『ルポ・軍事優先社会』(岩波新書)、『「日米合同委員会」の研究』(創元社)、『横田空域』(角川新書)、『昭和史からの警鐘』(毎日新聞出版)など。























