イスラム主義と言えばいいのか、原理主義もしくはジハード主義と言えばいいのか、東南アジアでもイスラムの大義を掲げる暴力が頻発している。今回はタイとインドネシアでその「原理主義」の根源を考える旅の取材日誌。

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3月6日早朝、成田から夕方バンコク着。タイに滞在している直井里予と再開。夜は日本の新聞社の助手をしているアンチャリーと取材の打ち合わせ。
7日の夜、バンコクからハージャイへ飛び、そこからパタニへ。CSホテルに投宿。まず04年4月にモスクに立て篭もった30数人のイスラム教徒たちがタイ軍、警察に射殺されたモスクへ行く。大量殺人の現場だが、もうその痕跡もなし。通訳のMは「こんなに多くの人たちが死んだ場所は、何か霊的な気味悪さを感じるものなんだけど、いまはどこでも殺人やテロが起きているから、みんああまり気にしなくなった」そうである。彼の周りでもすでに20人以上が殺害されたという。その後、6日に焼き討ちにあった村へ行く。まだ煙が消えていない。襲われたのは仏教徒の老夫婦と30代の農民。近くの寺で葬式をやっていた。この地域では寺の僧侶も暗殺されているから、みんなおびえている。
3日間の滞在で何人ものイスラムの宗教指導者に会ったが、いずれもあたりさわりのない意見を述べたのみ。誰も本心を明かさない。ここ2年ほどで1000人以上の犠牲者が出ていると言われるが、「テロ」実行主体の実態は不明という。
今日(11日)はパタニからバンコクへ戻り、そのままインドネシアへ。明日からは、タイよりももっと激しいインドネシアの「原理主義」を取材する予定。タイヤインドネシアで考察したイスラム主義については、取材が一段落した段階でまとめて報告したいと思う。

 
3人の村人が襲撃された現場   襲撃現場を捜索する警察官たち

 
リビアへ留学するという女子高校生たち   2年前、30数人のイスラム教徒が射殺されたモスク

 
取材中の筆者(右端)と通訳のMそれにドキュメンタリーを制作中の刀川(左
端)
  夕食のタイ料理。CSホテルのレストランは抜群においしい

 

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