爆音のない静かな空を
~厚木基地周辺住民、半世紀の訴え~ <第2回>

APN_yoshida_banner_001_sora
070808_yoshida空母艦載機と爆音被害
厚木基地を拠点に訓練飛行しているのは、米海軍横須賀基地を母港とする空母キティホークの艦載機で、戦闘攻撃機のFA-18ホーネット、スーパー・ホーネット、電子戦機EA-6Bプラウラーなど70数機である。

空母の横須賀入港期間中に集中して訓練をする。参戦もし、空爆もおこなう。
2003年3月のイラク戦争では、5375回出撃して約390トンの爆弾を投下した。米陸・空軍や海兵隊の輸送機なども飛来する。
また海上自衛隊も基地を共同使用し、P-3C対潜哨戒機などが日本周辺海域での任務や訓練飛行をおこなっている。

尾形が6年4ヵ月余り(欠測時間計121・72時間を除く)の間に目撃した延べ機数は、20万6990機に上る。1日平均で91機だが、多い日は400機以上も目撃している。早朝7時頃から夜10時頃まで、多く飛ぶ日の時間帯によっては数十秒から1分おきに飛んだり、2~4 機編隊でも飛んだりする。時には深夜の飛行もある。

この詳細な記録を尾形がつけだしたのは、96年3月に小学校校長で定年を迎え、38年間の教職を退いた後、2年余りしてからだ。
米軍機と自衛隊機を見分けるための専門書を買い、各機種の下方からと後方から見たときの機体・主翼・尾翼の図を手作りした。記号も付けて分類した。連続して飛ぶときには数秒以内に記録しなければならないからだ。

外出は極力控え、いつでもどこでも用紙とペンを手元に置き、飛行機の爆音がすれば窓から見て記録した。
そして毎晩、ワープロで清書し整理した。ほとんどの機種は音で聞き分けられるようになった。月ごとに綴じたファイルは段ボール2 箱分に達する。
なぜそれほどまでして記録し続けたのか。それは米軍機と自衛隊機の騒音に長年苦しめられてきたからである。

「果てしない爆音の下で暮らすのは拷問にも等しい苦痛です。安らかな時を持てません。ストレスも溜まって体調にも影響します」
騒音を測る単位としては、一般的にデシベル(dB)が用いられる。

70dBが電話のベル(距離1メートル)、80dBは乗用車通過時、90dBで交通量の多い交差点、100dBは電車通過時の線路脇、110dBが車の警笛(前方1 メートル)、120dBがジェット機離陸時の騒音に相当する。130dBは最大可聴値で疼痛音とされている。
大和市は滑走路北1キロの住宅地に自動騒音計を設置し、70dB以上で5秒以上継続する航空機騒音を常時測定している。

2006年は測定回数が計23307回、最高音118dB。1日の最多測定回数は225回である。ほかにも綾瀬市、神奈川県、防衛施設庁横浜防衛施設局などが、厚木基地周辺の各所に自動騒音計を設置し測定している。
基地周辺で騒音の影響を受けている住民は、150万人以上といわれる。
(文中敬称略)
つづく
<<< 前 │ 次>>> 「爆音のない静かな空を」 <第3回>