爆音のない静かな空を
~厚木基地周辺住民、半世紀の訴え~ <第7回>
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【厚木基地の正門】

【厚木基地の正門】

日本海軍の飛行場から米軍基地へ
厚木基地は神奈川県中央部の綾瀬市と大和市と海老名市にまたがってある。米軍機と自衛隊機が爆音を轟かせながら離着陸と旋回を繰り返し、長年にわたって周辺住民に耐えがたい騒音被害をもたらしている。

その厚木基地は元々、日本海軍が建設した。太平洋戦争が始まる1941(昭和16)年、農民から用地を買収し、飛行場、格納庫、兵舎などの建設工事を開始した。

当時、軍は絶大な力を持ち、買収は異論を許さぬほとんど強制的なものだった。『綾瀬市史』や『大和市史』によると、土地所有者らは説明会場に呼び出され、海軍将校から「土地は元々天皇陛下のものであり、国家非常時の場合は天皇陛下に返して欲しい」と訓示された。「海軍の教育施設をつくる」という以上の詳しい説明もなかった。
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