「爆音のない静かな空を!」
厚木基地周辺住民、半世紀の訴え  第21回  【吉田敏浩】

【厚木基地騒音公害訴訟の第4次訴訟原告団、提訴の日】

【厚木基地騒音公害訴訟の第4次訴訟原告団、提訴の日】

空爆・基地・爆音・子どもたちの姿
後日、厚木爆音防止期成同盟の顧問で、中国での戦場体験がある浜崎重信(87歳)に、基地開放日での見聞を話したところ、彼は次のように語って顔をくもらせた。

「ベトナムでもイラクでも、厚木基地で訓練を積んだ米軍機が多くの住民を殺したはずです。どちらも日米安保条約とは関係のない戦争です。しかし、日本政府は米国の言いなりになって容認し、いまも米軍機は次の戦争に備えて飛んでいます。だから、そんな基地は要りません」

「戦後、平和憲法ができて、よかった、これでもう俺たちは銃をとって殺したり、殺されたりすることはないと思いました。しかし、最近の日米軍事一体化や改憲への動き、戦争の悲惨さが忘れられてきた世の中を見ると、また日本人が戦争の加害者や被害者になりはしないかと気がかりです。

「もしも憲法9条が変えられてしまったら、第1次訴訟控訴審での軍事に高度な公共性を認めた判決のような、軍事優先の考え方が力を持ち、再び非国民という言葉がまかりとおる時代になりはしないでしょうか」
47年前、米軍機の爆音で電車の音がかき消されたため、遮断機も警報機もない踏み切りで起きた事故で、当時6歳の長男を失った真屋求は、こう述懐する。

【厚木基地のフェンスと滑走路上の自衛隊P3C対潜哨戒機】

【厚木基地のフェンスと滑走路上の自衛隊P3C対潜哨戒機】

「戦争があるから、基地がある。軍用機が飛ぶ。だから、人を殺す戦争があってはいけないんですよ。ベトナムやイラクで空爆によって子の命を奪われた親の気持ちは、痛いほどわかります。それはたまらないだろうな、と思いますね......」

その真屋が、基地周辺に住む子らの姿を歌った、「幼児〔おさなご〕が耳をおおいて爆音をさける姿に凍る切なさ」に、真屋の亡き子の面影も重なる。
そして世界中の、基地の街、戦場の街や村で、爆音に怯えながら両耳をふさぐ無数の子どもたちの姿と影が重なる。

2007年12月17日、厚木基地周辺住民6130人からなる第4次厚木基地騒音公害訴訟原告団が、横浜地裁に提訴をした。原告団は国を相手取って、爆音による騒音被害への損害賠償を求めている。

それとともに、軍用機の午後8時縲恁゚前8時の飛行差し止め、午後8時縲恁゚前8時の70デシベル以上の騒音発生の禁止、訓練目的などでの米軍の滑走路使用の不許可も、民事訴訟と行政訴訟を通じて求めている。


(文中敬称略)
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