DSC02890.jpg【台北市長当選時(1994)、民進党もご一家も絶頂時の陳水扁夫妻】

「シンデレラ」 1
先日、巷を一つの話題が駆け抜けた。陳水扁前総統のご長女のことである。
彼女はいつもメディアに追いかけられている。
なにしろ、自身の両親(すなわち総統夫妻)、亭主、亭主の父親(すなわち義父)が汚職や不正経済行為で被告席に座っているという渦中にあって、それを堂々と憤慨し(義父に、お前みたいな奴は死んでしまえと公言したこともある)、世間へも八つ当たりを繰り返す彼女は台湾メディア最愛のヒロインなのである。

父親当選の翌年、2001年に結婚。メディアは彼女を21世紀のシンデレラともてはやし、二人を世界でもっとも幸せなカップルともちあげた。そして次々に三人の子供も誕生し、まさに絵に描いたような理想のファミリーだったのである。

しかし自らの亭主とその父親のインサイダー取引に続いて、両親までもが公金横領などの罪で告発されることになったことから、「台湾之子」ともてはやされた陳水扁とその家族は失政と疑惑の地底に転落する。
せめて早目に辞職していれば、まだ「台湾派」にも夢が残されたはずなのに、本人が地位に固執したため、総統選では民進党まで道連れにしてしまった。

台湾史というものが将来も存在しうるなら、台湾時代を颯爽とリードし、そして台湾時代に自ら終止符を打った「一家」として台湾史にその名を永遠にとどめよう。
その一家の姫様が、久しぶりに自宅前のカメラの放列に、吼えまくったのである。ほとんどニュースに関心を示さないうちの奥方までが身を起こして注視するほどの迫力だった。彼女の発言を要約すると以下のようになる。

「どうしていつまでも私のことを追い掛け回すのよ! 私は単なる一人の医者よ。お父さんはもう総統をやめたの。私たちは単なる庶民になったの。私がなにか悪いことでもしたというの? あるなら言ってみてなさいよ!」
いつもは舌先三寸の女性レポーターもたじたじの気魄だった。というよりおさな顔を真っ赤にしてこの数年、いやこの十数年の鬱憤をぶちまけるような絶叫は、我々の胸を打つものがあった。
東森テレビ局はこのために特別番組を組み、民進党女性議員団は、長女への取材をやめるように呼びかけた。
いったい彼女の忍従・悲憤慷慨の青春とはなんだったのか…。
(続く)