北朝鮮一般について言うと、父親の金日成に比べると、金正日ははるかに不人気。しかし、金正日批判はタブーなので、「父親の代はよかった」と間接批判をする。(わが民族同士HPより)

北朝鮮一般について言うと、父親の金日成に比べると、金正日ははるかに不人気。しかし、金正日批判はタブーなので、「父親の代はよかった」と間接批判をする。(わが民族同士HPより)

 

「将軍様」への批判の仕方
シム 将軍様について、党員の間でも、気の合う人同士なら批判めいたことを言うそうですね。
秘書 そんなのは当たり前になりましたね。悪く言うといったって「人でなし」とまでは言えないけれど、「早く統一しろよ」とか、「開放しろ」ぐらいのことは言ってますね。いつも「やる、やる」って口先だけで、いつまでたっても人民たちに配給のひとつもまともに与えられないでいるんだから。まったく威信も地に落ちたもんですよ。

新聞なんかみても、偉いさんたちの会議では、「党は人民の生活に支障がないようにしよう」なんて一言も言わなくなりました。そういうことが、ついに党内からも出なくなってしまったんですよ。そんな調子だから、朝鮮にはもう力がないということよ。

シム 「金正日の政治はだめだ」なんて言う人いますか?
秘書 政治がだめだとまでは、やっぱり言えないわね。「首領様が生きておられた時は、こんなことはなかったのに」なんていう風に表現するんですよ。こういう言い方をすると、「ああ、この人が言いたいのは、将軍様の批判だな」ということが、お互いに分かるんです。

シム 批判をしながらも、ちゃんと「将軍」に「様(ニム)」は付けるんですか?
秘書 そうですね。そう言わないといけないもの。

シム なるほど。批判するにしても「金正日同志」、「将軍様」って言いながら、遠回しに批判するんですね。でも、幹部たちには、独特の揶揄の言い回しがあるでしょ?
秘書 行政幹部達は「おちびさん」って呼んでるし、党員たちは「二一世紀の太陽同志」って呼んだりもするわね。

シム ああ、そんなふうに呼ぶんですか。
秘書 幹部たちも「首領様が生きておられた頃が懐かしい」っていうのが基本的な批判の仕方ね。
これだけでもかなりの変化ですよ。幹部たちも、同じ社会主義国家である中国と行ったり来たりするようになってから、少しずつ意識が変化してきたんですよ。黄海道(注1)の人達もだんだん変わってきてるって言いますし。

消えてしまった「人民」という言葉
シム 今は「『人民』って言う言葉が消えてしまった」と皆言っていますよ。
秘書 首領様はいつも「人民たちは先生であり、人民大衆は鏡である!」とおっしゃってたんですよ。このスローガンがどんな政策にも、講演のタイトルにも、会議にも集会にもあったんです。それに、ある行政幹部が他の人の人格を侮辱したりすれば、党組織に問題提起されて解任されてたものです。
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