[柳本通彦] 台湾海峡天氣晴朗なれど No65

【ほっぺにCTのマークをつけてもらって韓国戦を応援する若者たち】
(8月19日/台北市内で/撮影:柳本通彦)

 

北京五輪 「チャイニーズ・タイペイ」
野球予選、昨日の韓国戦は8:9で台湾が惜敗した。これで台湾は四敗となり、決勝トーナメントに進出できる可能性は非常に険しくなった。

一夜明けて、台湾ではもはやオリンピックが終わったような雰囲気が漂っている。ほかにメダルがとれる可能性が乏しいということもあるが、もともとスポーツ競技への関心が低く、テレビ中継も少ない。とくにチームワークの必要な競技はかなり苦手らしい。
ただ野球だけは例外だった。彼らは国技だともいう。昨日の韓国戦も無線テレビ5局のうち3局が同じ画面で同時中継していた。

一番ショックだったのは、中国戦に敗れたことである。公式戦で中国に負けたのは、初めてだという。新聞は、台湾野球史上最大の恥辱と報じ、観戦していたある老人は激情のあまり心筋梗塞で死亡した。
一縷の望みを託した韓国戦。市内の繁華街にすえられた大型画面の前に大勢の若者が集まった。注目すべきは彼らのほっぺたにつけられた。赤と青の「CT」の文字。

オリンピックで、台湾は、「台湾」とも、正式国名である「中華民国」とも名乗れない。万一メダルをとっても国旗も国歌も掲げることもできない。あくまで「チャイニーズ・タイペイ」という与えられた呼称を用いるほかないのである。

その屈辱的ともいえる「CT」をほっぺに描いてもらって応援する若者たちからは、すでに「台湾人」としての気概も、国家に対するこだわりも希薄になっているようにみえる。
そして、オリンピックへの関心をいっきょに薄めてしまったのは、陳水扁前総統が、海外に数十億円規模の隠し口座をもっていることを告白するという「大事件」がその最中にふってわいたからにほかならない。

メディアはオリンピックなど押しのける形で、陳水扁一家の驚くべき蓄財にかかわる報道に狂奔しているところである。もちろん、われらのシンデレラ、陳水扁総統のご長女もその渦中にある…
*次号に続く