090314_kim_001.JPG【写真は高校ラグビー大阪地区予選の決勝戦に挑む朝鮮高級学校チーム (2006年)。赤白ストライプのユニフォームが朝高の選手。この試合には敗退したが、高校サッカーでは全国大会出場を果たすなど強豪として知られる】(2006年/FILE/ASIAPRESS)

「鄭大世(チョン・テセ)、頑張れ!」
昨年6月、ソウルでの2010年サッカー・ワールドカップ予選の韓国対北朝鮮戦で、「敵」である北朝鮮代表の鄭大世(川崎フロンターレ所属)選手に韓国のファンは盛大な声援をおくった。

鄭選手は、愛知県名古屋市生まれの在日コリアン3世。在日本朝鮮人総連合会系の愛知朝鮮人中高級学校に通ったが、国籍は韓国だ。
坊主頭の、けっしてイケメンとはいえない24歳の鄭大世が韓国で注目されるようになったのは、昨年2月に中国で開かれた東アジア選手権大会だった。彼は、北朝鮮代表として、韓国戦と日本戦でそれぞれゴールを挙げ、彼の活躍ぶりは日韓のサッカーファンの心をつかんだ。その後、彼の私生活や今までのサッカー人生を描いたドキュメンタリーが大きな反響を呼び、韓国で一躍有名人となった。

彼はインタビューで、「祖国は北朝鮮。韓国は第二の祖国。日本は生まれ育ち、これからも生きる故郷だ」と語り、そんな人柄も人気に拍車をかけたようだ。

もう一人、鄭大世よりもさらに注目を集めている在日のスポーツ選手がいる。元柔道家の秋山成勲(韓国名・秋成勲 チュ・ソンフン)だ。
2006年異種格闘技戦で桜庭和志と対戦した際、保湿クリームを全身に塗っていたことが発覚、日本では"悪役"のイメージが強くなってしまったが、韓国ではいくつものテレビCMに出演、歌手デビューまで果たし、超人気者になった。彼がブレークしたのも、テレビがとりあげたことがきっかけだった。在日としての生き方、日本国籍に変えた理由など、両国の柔道と格闘技の世界で経験した苦悩を率直に話す姿に人びとは魅力を感じたようだ。
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