めぐんでもらった食べ物を口に運ぶ男の子。痩せている。(2008年9月沙里院 シム・ウィチョン撮影)

めぐんでもらった食べ物を口に運ぶ男の子。痩せている。(2008年9月沙里院 シム・ウィチョン撮影)

 

拡大する市場に大統制始まる 9 リュウ・ギョンウォン
「二〇〇八 コチェビ問題」

現在朝鮮の市場が直面している問題とは、何なのか?
それは、ひと言でいうと、民衆の労働力と財産を巡って、その主である個人と、それを奪取しようとする国家権力との間で繰り広げられているせめぎ合いである。
国家権力は強奪を正当化するために、常に「情勢」を緊張させる。「資本主義の侵攻」を騒ぎ立てて、社会を準戦時状態で維持しようとする。これが朝鮮のいう「革命的政治方式」なのである。

世界で冷戦はとっくに終息しているが、朝鮮では冷戦を続けることで権力の座に座っていられる守旧勢力が、ずっと「階級闘争」を続けている(朝鮮式「階級闘争」については近日アップ予定の記事「「後継問題」に直面する北朝鮮政権」を参照のこと)。
このような、旧時代的な方法にとりつかれてしまっている現政府の未来に、どんな光が射すというのだろうか。

こんな朝鮮を象徴するのが、今年再び表面化した「二〇〇八コチェビ問題」である。
九〇年代の朝鮮で起こった悲惨な大飢餓は、外部のマスメディアの力で世界中に知れ渡り、そのお陰で当時朝鮮が自力で解決しえなかったコチェビ(ホームレス)問題に対して国際的な支援が始まった。

しかし、無能な国家のせいで、大量に送られてきた支援物資すらも、弱者へはきちんと分け与えられなかった。
それだけでなく、現在は、南北の経済関係も断絶されており、各種の取締りによって市場にまで不安が及ぶと、前出のグラフで見たような二〇〇%もの穀物価格の高騰を誘発し、それに伴い朝鮮全土を数多くのコチェビが再び彷徨い始めているのだ。
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