農村地域で露天で開かれた市にも中国製品が豊富に並べられていた。(2008年10月銀泉(ウンチョン)郡 シム・ウィチョン撮影)

農村地域で露天で開かれた市にも中国製品が豊富に並べられていた。(2008年10月銀泉(ウンチョン)郡 シム・ウィチョン撮影)

 

拡大する市場に大統制始まる 10 リュウ・ギョンウォン
課題は何なのか
市場に関する問題点と課題について簡単にまとめてみた。

1 市場抑制・統制措置の問題点
◆四〇代未満の女性たちを、市場から追い出して職場へ送り込もうという企みは棄てなければならない。
現在、既に職場から逃れられないように制度的に縛りつけられている男性たちは実際、賃金・報酬という対価に納得して働いているのではなく、職場に出ないと労働鍛錬刑に処せられるという恐怖によってしぶしぶ職場に出ているのである。すなわち強制労働に近い状態に彼らはあるわけだ。

女性たちは、二〇〇二年の経済管理改善措置の後に市場に出られるようになり、その生存権をようやく確保したのだが、今、この約束を反故にして、再び国家権力は女性達を市場から放逐して生存権を破壊しようとしている。

◆貧しい人びとの商売を、様々な政策を盾にして妨害し、生計に脅威を与える行為を、即時中止すべきである。
元手が十分にないために、ほんの少しの食べ物を売るしかない零細商人たちが、とほうもない額の「市場税」を払えないという名目で、公設市場から締め出されている。仕方なく路地で商売をしていると、そこでも商売をするなと立ち退かされる。

そうかと思えば、貧しい人びとが知人親戚の家を訪ねる際に自分が食べるために持ち歩く数kgの食糧さえも、食糧運搬を取り締まる者たちが没収している。
このような悪質極まりない弱い者いじめが「社会主義」を標榜する朝鮮各地でまかり通っているのだ。

◆報酬も与えず、政治的なやり方で女性労働と少年労働を奨励し、搾取してきた経済的な慣習を根絶しなければならない。
日々、苦労して稼いで、自分の家族を養っている家庭婦人たちのみならず、その子供たちまでをも無報酬の農村支援に動員し、それを確実なものとするために市場の運営時間までも短縮するという悪辣な行為をこのまま放置していては、いつまでたっても朝鮮の経済は落伍したままだ。

住民世帯に対して、軍用道路建設の資材供出などの社会的課題=ノルマを与え、様々な物資や金を無償で徴発するようなこともそうである。幼い子供たちのもみじのような手を借り、どんぐりやバッタなどさまざまな収集ノルマを与えてタダで収奪するようなやり方では、二〇一二年に実現すると宣伝している「強盛大国」も、幻に終わるに違いない。

◆朝鮮政府は「配給労働」に基づく経済方法にこれ以上すがり付くべきではないのに、現在、党と国家は、それを奨励、復活させようとしている。
「配給労働」方式が、二一世紀に入った現代にも存在するということはこれまで、外部世界では知られていなかったことである。考えてみると、こんな経済のやり方が存在しうるのは、奴隷社会ではなかったか。

さらにその上、その食糧配給すら満足に実施できなくなるや、企業所の自然解体を防止するために出勤を強要しようとして労働鍛錬刑を登場させたということを知れば、世界はどういう反応を見せるだろうか。
その動員と徴発の内幕を知れば、朝鮮では、常に戦争の中に浸っていると見られるのではないか。曲がりなりにも主権国家であるならば、これらは恥ずべきことと知らなければならない。
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