日米合同委員会組織図外務省ホームページに掲載されている日米合同委員会組織図。
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国家が情報を隠蔽するとき

23 不透明な日米合同委員会での合意
このような米軍優位の「合意事項」を取り決める、日米合同委員会とはどんな組織なのだろうか。外務省のホームページには「日米合同委員会組織図」が載っている。

日本側は代表が外務省北米局長、代表代理として法務省大臣官房長、農林水産省経営局長、防衛省地方協力局長、外務省北米局参事官、財務省大臣官房参事官、計6名。

米国側は代表が在日米軍司令部副司令官、代表代理として在日米大使館公使、在日米軍司令部第5部長、在日米陸軍司令部参謀長、在日米空軍司令部副司令官、在日米海軍司令部参謀長、在日米海兵隊基地司令部参謀長、計7名。

日本政府中央官庁と在日米軍・米大使館の高官クラスの官僚・軍人で構成されている。
その下に、刑事裁判管轄権、民事裁判管轄権、気象、財務、施設、出入国、調達調整、通信、労務、事故、環境など各分野にわたる25の分科委員会や特別分科委員会などがある。さらに、施設分科委員会の下に陸上演習、海上演習、港湾、施設整備・移設など8つの部会が置かれている。そして、出入国分科委員会の下に検疫部会がある。

分科委員会は日本側と米国側の実務担当の官僚と軍人などから成り、代表には各分野を管轄する日本政府中央官庁の高級官僚が就いている。たとえば、刑事裁判管轄権分科委員会の代表は法務省刑事局総務課長である。
日米合同委員会は日米地位協定(旧行政協定)第25条に基づいて設置された。第25条第1項には、こう書かれている。

「この協定の実施に関して相互間の協議を必要とするすべての事項に関する日本国政府と合衆国政府との間の協議機関として、合同委員会を設置する。合同委員会は、特に、合衆国が相互協力及び安全保障条約の目的の遂行に当たって使用するため必要とされる日本国内の施設及び区域を決定する協議機関として、任務を行なう」

外務省によると、日米合同委員会の協議は通常、毎月2回くらいで、2週間に1度のペースで会合をしている。日米が交互に主催して議長役を務める。日本側主催のときは外務省で、米側主催のときは東京にある米軍施設「ニューサンノー米軍センター」で開く。

日米合同委員会では、事前に各分科会の実務者レベルで詳細に協議され合意に達した事項を、改めて協議して最終的な合意がなされる。そして議事録が作成され、合意文書がつくられる。
しかし、その議事録や合意文書は原則として公表されない。ただ、ケースバイケースで日米の合意のもと、合意文書やその要旨が公表されることもある。

合意文書の要旨だけが公表される場合、問題の「日米合同委員会刑事裁判管轄権において合意された事項」と、その要旨として外務省が公表している「刑事裁判管轄権に関する事項」のように、重要部分を欠落させたり、書き替えたりして、米軍優位の実態を覆い隠そうとするケースも見られる。

『実務資料』の解説によると、日米合同委員会の「合意事項」は、日米地位協定の円滑な運用のために必要な実施細目についての合意であり、「協定の実施にあたる両当事者間の内部的な運用準則」だという。
従って、日米地位協定締結時の日米両国全権委員らが、地位協定の交渉過程で検討し合意した議事録とは取扱いが異なるのだという。

「その取扱いが異なるのも当然である(合意議事録は、地位協定の正式な附属文書として国会に提出されたが、合意事項は、公表されない取扱いとなっている)。しかし、合意事項も、地位協定に基づいて設置され、両国政府の代表者によって組織される合同委員会において正式に合意されたものであるから、両国の当局がこの合意に従うべきことは、いうまでもない」(『実務資料』p.5)

このように「合意事項」を秘密にしている事実が明記されている。しかし、その下線部分は、国会図書館で部分的閲覧のできる『実務資料』複製では黒塗りにされ隠されている。
つづく(文中敬称略)
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