外務省東京の霞が関にある外務省。

国家が情報を隠蔽するとき

24 隠されてきた「合意事項」全文
さらに、『実務資料』の8~9ページには、前述した「合意事項」に関する解説の「(注)」が載っている。
「(注4)合意事項は、日米両当局間における内部的な運用準則ともいうべきものであるから、これが公表されない取扱いとなっていることは、その性質上当然のことであり、その内容においても、地位協定や国内法令に反するような事項は含まれていないので、これを秘密協定であるとして非難する論議が一部にあったが、誤解に基づくものというほかない。なお、日米安保条約並びに地位協定についての国会審議にあたって、その要旨が参考資料として国会に提出されたことがあるが、その全文が公表されたことはない」
ここでいう「その要旨」とは、外務省ホームページに載っている「刑事裁判管轄権に関する事項」である。元々は、1960年の日米安保条約改定時に国会に参考資料として提出されたものだ。日本政府は「合意事項」全文を、国権の最高機関であり、主権者の国民を代表する国会にさえも提出していないのである。

「合意事項」の取扱いに関する「(注4)」『実務資料』(p.8~9)の「合意事項」の取扱いに関する「(注4)」。
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それにしても、「内部的な運用準則」というが、その準則すなわち規則は実際の米兵犯罪や米軍による事故などが起きたとき、その処理をどうするかを定めたものとして運用される。犯罪や事故の被害者にとって、事件・事故がどのように処理されるのかは重大な問題である。
つまり、ここでいう「運用準則」がもたらす結果は、「日米両当局間における内部的」なものにとどまらず、外部的な、社会的な作用・影響を及ぼすのである。

だから、日米両当局の内部の担当者だけが知っていれば済むことではない。「運用準則」の効力によって影響を受ける外部、すなわち日本社会に暮らす人々すべてが知っておかなければならないことだ。また、それを「知る権利」もある。
米兵犯罪や事故の被害者になる可能性は誰にでもある。だからこそ、事件・事故の処理が、日米地位協定とその合意議事録と地位協定の運用準則である「合意事項」に照らして、正当で適切なものなのかを判断し、検証するためにも、「合意事項」の全文を知る必要がある。
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