「先生、視力はどれくらいが合格の水準ですか?」
「あなたが朝に何を食べたのかは知らないが......」
医者は元気のない言葉でまともに返事もしない。手ぶりで出ていけと示した。

お腹が空いて力が出ないから勝手にしろということであった。
私たちは笑って、騒いで、時には金をわたして、同じ組50数名の中から一人の不合格者も出さないで身体検査を通過した。
次は道党での面接があった。

対外派遣を担当する道党課長と指導員が面接を始めた。すでに準備された文書があるので、面接は考えていたほど難しくなく通過することができた。

面接は午前9時に始まり、午後四時ごろに終わった。道党課長と指導員、そして私たちの引率指導員の3人に高級タバコ1カートンと昼食と夕食までご馳走し、一人あたり80ウォンずつ金をわたした。

道での仕事はうまくいった。再び結果は家で待つようにと言われ、私たちはうれしくなって家に戻り、通知を待っていた。
さて、あとは中央党の面接と身体検査だけが残った。中央党の面接と身体検査は、道のものより厳しくないということであった。時には中央党の面接と身体検査はせずに、対外派遣部で必要な講習だけを行って出発する場合もあるという。

しかし私の期待とときめきは長く続かなかった。
実家に戻り4万ウォンの費用を準備するために奔走している間に、党では私の名前を抜いてしまったのである。そして別の人が選ばれた。
結局、二度目の労働輸出対外労務の願いも水の泡となってしまった。
(つづく)
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(文) リ・ドンハク [キルスの伯父・ファヨンの父]
48歳。咸鏡北道花台郡出身。労働党員であったが1999年1月に北朝鮮脱出北朝鮮では製錬所、建設企業所の、副職場長などを務めた。
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