平壌(ピョンヤン)には毎年、仕事や観光のため少なくない外国人が訪れる。だが彼(彼女)らが見る平壌が真の姿かと聞かれれば、平壌市民である私は迷わず「No」と答える。ショーウィンドウのように飾られ、整備されているのは、平壌のごく一部であり、うわべの姿でしかないからだ。

今回、私が撮影した映像には平壌の「真の姿」がある。食い扶持を稼ごうと公設市場はもちろんのこと、路地裏やアパートの軒下で商売をする住民。また、美観を損ねるとの理由から、みすぼらしい姿や、大きな荷物を持つ人が市中心に入れないよう、軍人が地下鉄駅への入場を統制する様子。さらに遠足に来た児童の食べ残しを拾い食いするコチェビ(ホームレス)の姿などを撮影したが、いずれも平壌市民のごく普通の日常生活の光景だ。
今年6-7月に私が撮影した平壌の様子を写真で報告する。
【写真はすべて今年6月、具光鎬(ク・グァンホ)が撮影したもの】

(1)商売にいそしむ住民たち -公設市場:牡丹(モラン)市場
政府からの配給で生きている北朝鮮の住民、とりわけ首都平壌に住む人々が商売を?と思うかもしれないが、94、95年度くらいから平壌市民への配給は不安定であり続けているのが現実だ。特に今年に至っては、4月以降、保安部(警察)、保衛部、党幹部など権力機関にいる人々を除く、市民の七割は食糧配給を全く受けていないと私は見ている。配給のないそうした人たちは、商売をして生計を立てている。市場で現金を稼ぎ、同じ市場で食糧や生活必需品を買って生きているのだ。
今回私が訪れたのは、市内の中心にほど近い牡丹峰区域に位置する牡丹(モラン)市場。平壌でも屈指の大きさの市場だ。午後三時の開場から間もないとあって大勢の人で賑わっていた。

牡丹市場の入り口。売り物と思われる大きな荷物を担いだ人々が続々と市場に吸い込まれてゆく。(C)アジアプレス

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