6月22、23日、沖縄慰霊の日に合わせて、『新聞うずみ火』の読者と「沖縄平和ツアー」を行った。初日は、米軍ヘリパッド建設工事が強行される東村(ひがしそん)高江、そして普天間の「移設先」とされる名護市辺野古を訪ね、座り込み運動の当事者から話を聞いた。
県民の4人に1人が亡くなった沖縄戦から68年。戦争を一番憎む沖縄がいま再び「捨て石」にされようとしている。(矢野 宏/新聞うずみ火)

高江の「N4」テント。県内外の支援者も座り込む

高江の「N4」テント。県内外の支援者も座り込む

 

■ 沖縄本島北部・東村高江 ヘリパッド建設反対住民いじめ
県内外からの支援者も駆けつけてくれているが、日々の生活を送りながら1日24時間、1年365日を通しての座り込み活動は、住民にとっては大きな負担である。そんな彼らを国は「工事を妨害している」として訴えている。

最初は2008年、住民に対する「通行妨害禁止仮処分命令」の申し立てだった。対象にされた住民は15人。その中には、当時8歳だった少女も含まれていた。その少女は座り込み現場におらず、証拠となる写真は一枚もないにもかかわらずだ。反対運動の住民を国が訴えるのは前代未聞のこと。
結果、多くの住民に対する申し立ては却下されたが、「ヘリパッドいらない住民の会」共同代表の2人に「妨害行為があった」として通行妨害禁止を命じる仮処分を決定。これを根拠に国は2010年、さらに2人を本裁判に訴えた。

国や大企業など、資金や法的知識を豊富に持つ側が反対活動を萎縮させる目的で、弱い立場の住民を訴える――。米国では「SLAPP(スラップ)裁判」と言って多くの州で禁じられており、権利の乱用を防ぐ法律もある。相手に金銭的・精神的苦痛を負わせるのが特徴で、被告以外の反対者にも不安を与え、言論を封じ込める狙いがあるからだ。高江のケースも、ヘリパッド建設を進めたい国が、住民をけん制する目的で強硬手段に出たとみるのが自然だろう。
被告とされた「住民の会」の共同代表、伊佐真次さん(51)の妻でもある育子さんは「人権や国民の生活を守るべき国が、私たちに『我慢しろ』と押し付けるのはおかしい」と力を込める。

「私たちが頑張れるのは沖縄の歴史があるからです。生活のためだけならここを出て、他に行けばいい。沖縄の人たちが頑張ってきた歴史があるから、私たちも頑張らねばと思うのです。沖縄戦はあらゆる地獄がありました。生きている方が辛いと言う人もいました。二度と繰り返してはいけない。ここで負けてしまったら子どもたちを守れない。つらい思いをした歴史を繰り返したくはないのです」

■ 座り込みは犯罪か
育子さんは京都出身。沖縄に嫁ぎ25年になる。伊佐さんと交際する前のこと、すでに面識のあった義母から「沖縄に嫁に来るなよ」と言われたことがあるという。「沖縄は東洋一危ないところ。基地にはミサイルも『ピカドン』(核兵器)もある。他の国から狙われる。戦争が起きれば広島や長崎のようになる」と。

沖縄に米軍基地があることは一番に狙われるということなのだと、育子さんは言う。
3年半に及ぶ裁判の間、高江の住民たちは時間も資金も奪われ、精神的な苦痛を強いられてきた。一審那覇地裁判決は、共同代表2人のうち伊佐さんだけに通行妨害禁止を命令。明暗を分ける「分断」ともいえる判断をした。住民にとって最後の抵抗運動である「座り込み」は国によって「犯罪」にすり替えられた。

私たちが沖縄を離れた2日後の6月25日、この裁判の控訴審判決があった。福岡高裁那覇支部は一審判決を支持し、伊佐さん側の控訴を棄却した。伊佐さんの行動を「国が受忍すべき限度を超えた」と判断、「スラップ訴訟だ」という訴えは退けられた。伊佐さん側は、判決を不服として最高裁に上告した。
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