◇安倍政権は今の臨時国会で秘密保護法案を強引に成立させようとしている。
同法案条文によると、(1)防衛(2)外交(3)スパイ防止(4)テロ防止の四分野で、漏洩すると国の安全保障に著しく支障を与えるおそれがあり、特に秘匿を要する情報を、行政機関の長が「特定秘密」と指定。それを漏らした国家公務員や契約業者や都道府県の警察職員らへの罰則を、最長で懲役10年に厳罰化する。

さらに、人を欺く・脅迫・窃取・傍受・不正アクセス行為などで「特定秘密」を取得した者にも最長で懲役10年、漏洩や取得の共謀・教唆・煽動をした者にも最長で懲役5年の厳罰が科されることになる。公務員や一部の業者だけではなく、誰もが取り締まりの対象になるのである。

しかし、「特定秘密」の基準も、処罰の対象も曖昧で、広範囲に及び、いくらでも恣意的に拡大解釈できる。たとえば外交分野では、「安全保障に関する外国政府や国際機関との交渉・協力方針・内容」とあるが、日米安保条約や地位協定に関わる密約なども「特定秘密」に指定されかねない。防衛分野での「自衛隊の運用・見積もり・計画・研究」なども広範囲すぎる。自衛隊のオスプレイ導入計画なども秘匿されかねない。テロ防止を名目に原発に関する情報も隠されるだろう。

「特定秘密」を知ろうとして働きかける行為も漏洩の教唆や共謀と見なされ、処罰対象となる。何が「特定秘密」なのか関係者以外は知らないのだから、例えば日米密約やオスプレイ飛行ルートや原発の安全性などの調査で、知らぬ間に「特定秘密」を探っていると曲解されて罰せられることもあり得る。報道機関やジャーナリストや市民団体や弁護士などの取材・調査を制約し、「知る権利」の侵害につながる。
何が秘密か、どのような行為まで処罰されるのか、国民にはわからぬまま、政府に都合の悪い情報は隠され、時の政権の判断で処罰範囲が決められるおそれが強い。

法案に「知る権利」や「取材の自由」への配慮も盛り込まれたが、秘密指定の権限は政府が握っており、第三者のチェックも歯止めもなく、何が正当な取材行為かも政府の判断次第で、お題目に過ぎない。
同法案に対して、「知る権利」や言論の自由の侵害につながるとの批判が広がり、10月末の共同通信の世論調査では、同法案に反対が50・6%、賛成が35・9%だった。日弁連、新聞労連、民放労連、日本ペンクラブ、全国市民オンブズマン連絡会など反対表明を行う団体も増えている。
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