部隊編成にも支障 親は「反発言いたくても言えない」

朝鮮人民軍の兵役期間がこの九月から、男子は1年延長されて11年、女子1年延長されて7年になったことがわかった(※)。北朝鮮内部の取材協力者が伝えてきた。北朝鮮では通常、高等中学を卒業する満17歳から兵役が始まる。(石丸次郎)
北朝鮮の新兵入隊は四月と九月の年二回。アジアプレスの取材協力者は、この九月に自分の息子を入隊させた。彼女は18日の電話で当初次のように伝えてきた。

「事前に親に延長されるという説明はなく、政府の方針があったとも聞いていなかった。新兵たちが集められた場で、軍事動員部(兵役事務扱う軍の部署)から、『軍服務は13年制になった』と知らされた。(親として)がっくりきたが、反発があっても口に出して言えない」

確認のため19日に別の取材協力者に依頼して、軍事動員部の兵役担当官である「隊列指導員」に会って聞いたところ、
「男子は1年延長して11年服務制に、女子も1年延長して7年服務制になった」
と言明した。またこの「隊列指導員」は「今後3年間は軍を除隊させる人員は出さない見込み」とも述べたという。

2006年8月、ミサイル発射の騒動によって、準戦時態勢を宣言した北朝鮮政権は緊急に志願兵を募集した。写真は、新兵送別イベントに動員された清津市の住民たち。(撮影 リ・ジュン)

北朝鮮国内で兵役期間が13年に延長されたという認識が広がりつつあるのは、除隊延長措置と関連していると思われる。

また、この「隊列指導員」は、大学進学などで入隊が遅くなった者に対しても兵役期間を確保するため、「30歳まで除隊させない方針になった。また大学進学者の入隊はこれまで志願制だったが、この10月から義務制になる」と述べた。
兵役期間の延長などの一連の措置の理由についてこの担当官は「軍への入隊者数が減っているからだ」と語ったという。

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