九州電力の川内原発が8月、避難計画や安全面で様々な課題を未解決のまま、再稼働された。この問題について、元京都大学原子炉実験所・助教の小出裕章さんに聞いた。(ラジオフォーラム

元京都大学原子炉実験所・助教の小出裕章さん

元京都大学原子炉実験所・助教の小出裕章さん

ラジオフォーラム(以下R):川内原発は多くの課題があるにもかかわらず、それがきちんと解決されないまま再稼働されました。問題点のひとつとして、鹿児島湾と桜島などで構成される姶良カルデラ等、周辺火山の噴火対策があります。これについてはどうお考えですか。

小出:私は火山の専門家ではありませんので、私がお答えするのが適当かどうかは分かりません。だたし、九州には 巨大なカルデラが5つも並んでいるということです。皆さん阿蘇に行ったことがあるかもしれませんが、阿蘇にも直径20キロもの巨大な穴が開いているわけで すね。もし本当にそんなカルデラが生じるような巨大な爆発が起きたらどうなるかということは、当然みんなが心配してきたわけです。

R:火山の専門家は危ないと言っていますが、九州電力はどういう反応ですか。

小出:九州電力の方は「いやそんな巨大な爆発は滅多に起きないから大丈夫だ」「もし起きるとしても、前兆現象が 観測できるから、そうなった時から準備をすれば、十分に被害を食い止められる」というようなことを言ってきているわけです。最近の話でも、例えば御嶽山の 爆発というのがあって、まさか誰も御嶽山が爆発するなんて思ってもいなかったけれども、爆発しました。今年噴火した口永良部島もそうですけれども、まさか と思うような時に巨大な爆発が襲ってくるわけです。

火山の専門家は、そのへんのことを十分知っているわけで、川内原発が新規制基準に一応合格したという答申が出た時にも、火山学会の人たちはみんな集 まって、「いやそんな爆発が予測できるなんてことはあり得ない」と言っているわけです。私もいわゆる自然現象というのは工学的な機械と同じようにはいかな いので、思ったように予測というのはできないと考える方が適切だろうと思います。

R:「そんなことは滅多に起きないのだから、まあ大丈夫でしょう」というのは以前にも聞いたことあるような気がします。

小出:そうですね。

R:住民の方たちにとっては、万が一の時の避難ということが死活問題になるわけですが、結局のところ、避難計画は大丈夫なのでしょうか。

小出:安全性の確保という言葉を私はあまり使いたくないけれども、少なくとも社会的に合意できる程度の安全性が 確保できるかどうかということは、原子力規制委員会が新規制基準の中できちんと判断するべきことだと思ってきました。しかし、原子力規制委員会の新規制基 準には避難計画は全く含まれていません。規制委員会自身は、原発の機械としての安全性だけしか判断しません。そして、事故が起きた時のことは、もう自治体 が勝手に考えろと、自治体に押し付けてしまいました。

丸投げされた自治体の方は、そんな規制委員会も責任を取れないような事態に対して、きちんとした避難計画など作れる道理がないわけです。実際に福島 第一原子力発電所の事故の時にも、いわゆる災害弱者と言われるような人たちがみんな取り残されて、命を落としていったわけです。

川内原発の場合にも、病院関係者の人たちは「もうほとんどそのような避難ができる道理はない」 と当事者自身が言っているわけです。鹿児島県知事にしても「10キロ以遠30キロ以内はもうどうにもならない」と言っているわけで、避難計画なんてもとも とできないと考えるしかないだろうと思います。