福島第一原発の敷地の中、特に原子炉建屋内部では今も放射線線量が非常に高い状態が続いている。そうした中で、少しでも廃炉作業を進めるために毎日多くの作業員が被曝をしながら働いているが、昨年11月、作業員の一人が急性白血病になったとして、事故後初めて労働災害が認められた。放射能被曝とがん発症について元京都大学原子炉実験所・助教の小出裕章さんに聞いた。(ラジオフォーラム)

ラジオフォーラムの収録で語る小出裕章さん

ラジオフォーラムの収録で語る小出裕章さん

◆作業員も「年1ミリシーベルト」であるべき

ラジオフォーラム(以下R):福島第一原発事故後の作業で、放射能被曝した後に白血病になった元作業員の方に労災保険が認定されました。今後もこのようなケースは増えてくるのでしょうか。

小出:はい。福島第一原子力発電所の事故収束作業というのは、未だにとても過酷な被曝環境の中での作業が続いています。これまでにすでに2万人近い人たちが、累積で5ミリシーベルト以上の被曝をしてしまっていますし、これからもどんどん増えていくだろうと思います。

R:労働者の被曝による労災の認定に関してどのような基準があったのでしょうか。

 小出:被曝による労災の認定というのは、これまでは年5ミリシーベルト以上の被曝をした場合の白血病の発生については労災を認めるというものでした。では、「1年間に5ミリシーベルト」という基準はなぜ出てきたかと言うと、その基準が決められた1976年の時に、一般の人々の被曝の許容限度というのが年5ミリシーベルトだったのです。それを超えたということは、一般の人ではなくて労働者として被曝をしたことになるのだから、白血病が出たのであれば労災を認めようという考え方なのです。

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