幼児連続殺人事件があった会寧市。中国側から2015年8月石丸次郎撮影

幼児連続殺人事件があった会寧市。中国側から2015年8月石丸次郎撮影

 

人の住む世、身の毛のよだつような殺人事件が稀に起こる。日本でも韓国でも。情報鎖国の北朝鮮からも猟奇的事件発生が聞こえて来ることがあるが、多くは真偽不明の噂だった。だが2013年9月に起こった奇怪な事件は、当局が大々的に捜査を繰り広げたため多くの人が知ることになった。政治犯収容所跡地で血を抜かれた子供の死体が次々と発見されたのである。(取材カン・チウォン/整理 リ・ジンス)

「わずか四日の間に、体中の血を抜かれた三体の子どもの死体が見つかって現地は大騒ぎになっている」
2013年9月、咸鏡北道会寧(フェリョン)市に住む取材協力者のX氏が、アジアプレスの編集部との定期通話の中で衝撃的な事件を伝えてきた。

事件が起きたのは、以前「22号管理所」と呼ばれた政治犯収容所の跡地であった。

「22号管理所」は秘密警察である国家安全保衛部の管理の下、隣接するセッピョル郡と恩徳(ウンドク)郡にまたがる広い山間地を電気鉄条網で囲い、数千、数万とも言われる政治犯たちを一生涯にわたり強制労働に従事させていた「完全統制区域」であった。この「22号管理所」は2012年5月に閉鎖され、今では農地になっている(注1)。
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