落雷事故現場の献花台で手を合わせる母親の岩永和子さん

落雷事故現場の献花台で手を合わせる母親の岩永和子さん

 

2012年、大阪で開催されたイベント会場付近に落ちた雷で参加者が亡くなった事件で、遺族が「主催者に安全を確保する義務があった」として損害賠償を求めていた裁判。一審、二審と訴えを認められなかった遺族が、最高裁判所に上告した。(アイ・アジア編集部)

2012年8月18日、人気グループ「エグザイル(EXILE)」や「三代目ジェイソウルブラザーズ(三代目J Soul Brothes)」などが出演するエイベックス主催の音楽イベント「エイネイション(a-nation)」が大阪市の長居公園内の長居スタジアムで予定されていた。このイベントに参加するため、北九州から来ていた岩永牧子さん(当時22歳)とその友達が、突然の大雨で長居公園内の木陰に避難していたところ、落雷に遭い亡くなった。

これまでの裁判で、遺族は、主催者側が安全の確保を怠ったばかりか、事故が起きた後も適切な対応をせず、その結果、岩永さんが死亡したと主張。

落雷事故をめぐっては、学校での部活動中に生徒が落雷によって死亡した事故で、2006年、最高裁は学校側の責任を認めている。遺族はその点も指摘し、主催者側には競技場の中に入れて参加者を保護する義務があったにも関わらず、一切しなかったため、公園内で雨宿りを強いられて事故にあった」と一審、二審で主催者側の責任を主張していた。

11月10日に大阪高等裁判所で開かれた判決の言い渡しで、池田光宏裁判長は、主催者側には安全確保の義務は生じていなかったとして、遺族の訴えを退けた。

判決について岩永さんの母親の和子さんは、「事故の事実関係も違うし、主催者は参加者を会場内に入れて保護すべきだった」として、最高裁判所に上告した。

この事故をめぐっては、遺族が落雷事故の現場に設置した献花台に対し公園の管理者である大阪市が撤去を求める問題も起きている。遺族は、「この事故はいつ誰に起きてもおかしくない。献花台を撤去しても、事故の再発防止になるシンボルのようなものをつくるべきだ」と主張している。

【関連記事】
屋外コンサート落雷死亡事故は防げなかったか? エグザイル公演に出かけた娘落命 母の無念
退去命令のペルー人家族が会見「日本生まれの子供だけでも残留認めて」
「土人」と罵られた作家・目取真俊さんが語る沖縄ヘリパッド問題(1) 一番評判悪いのは大阪府警

★新着記事