丸顔の女性兵士が市場に向かう道をとぼとぼ歩いていた。2008年12月南浦駅にて撮影(アジアプレス)

<朝鮮人民軍兵士たちの素顔>記事一覧

金正恩政権は女子の軍入隊を強く推し進めている。自身の息子が入隊することになった北朝鮮内部の取材パートナーに調査してもらったところ、最近では、義務教育の高級中学校卒業時に女生徒の三分の一程度が入隊するようになったという。
「男子だけでは兵員が不足するため、女子を入隊させて補うことになった」と取材パートナーはいう。

北朝鮮軍が兵員確保に困難をきたしている最大の原因は、1990年代半ばの深刻な社会混乱と飢餓だ。この時期、乳幼児も含め子供が大量に餓死した。餓死を免れても栄養不良で極端に体が小さい人が多い。

さらに生活苦で子供を産まない傾向が進んで少子化に拍車化がかかった。今、この「飢餓世代」が、年代的に朝鮮人民軍のほとんどを占めるようになった。深刻な兵員減のため編成がままならない部隊も生じている。

駅の待合室で移動のための列車を待つ女性兵士たち。疲れてぐったりしている兵士もいる。2008年12月南浦駅にて撮影(アジアプレス)

 
◆栄養失調で生理止まる兵士多発

1980年代まで、女性将校は少女たちの憧れの職業だった。軍服姿は凛々しく、国と革命に奉仕でき待遇も良かった。中学卒業の段に軍入隊を志願し、将来は職業軍人になるという夢を持つ女生徒が少なくなかったという。

ところが今では、親たちは、娘の軍入隊をなんとか忌避させたいと考えるようになった。まず軍の食事があまりに粗末なことがある。90年代から栄養失調が軍内に蔓延しており、生理が止まるケースも珍しくないほどだ。

二つ目に職業軍人の待遇が悪化したことがある。国定の給与は日本円換算で100円にも満たない。食糧配給は、本人分は出るが、扶養家族の分は出たりでなかったりだ。軍服務の間は社会勉強もできず、除隊後はつぶしがきかない。苦労多くて得るものがあまりに少ないのである。

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