◆政権中枢が肩入れした事件ではないのか。だが、誰一人責任を取っていない…
情報の隠蔽はどちらもひどい。森友学園の方は内部リークがほとんどなかったが、ここにきて、リークとしか思えない情報が出ている。財務省か検察かわからないが、ひどすぎると、内部にそう考える人が出てきているのではないかと思う。

個人的な人間関係に基づき便宜供与するというのも加計学園と同じだが、「腹心の友」というほどではない。それでいうと、森友の方は、いびつな愛国心教育の学校法人に対し、政権中枢が肩入れした事件だと僕は思う。それを、誰一人責任を取っていない。

森友学園は安倍首相と取り巻きにとっての「モデル校」。政権中枢と、大阪では維新・松井知事が車の両輪となって動かした。その上に籠池さんが乗り、開学に持っていこうとした。「金がない」「ではタダ同然で差し上げましょう」「設立認可が厳しくて無理」「じゃあ認可基準引き下げましょう」と。

塚本幼稚園は以前、園の前にある公園をめぐる問題で、維新の市議と大阪市にねじこんだことがあった。森友と維新。職員も意識していたと思う。塚本幼稚園のトラブルは府の幼稚園チームの方に行っていたが、要するにこの問題が大きくなるまですべて放置・黙認されてきた。

2012年2月26日、日本教育再生機構という日本会議のフロント団体が大阪でタウンミーティングを開いた。当時、下野していた安倍氏、松井知事、教育再生機構の八木秀次理事長が鼎談。そこで安倍氏と松井知事は意気投合した。安倍氏と維新との蜜月の始まりといわれている。松井知事は日本会議地方議員連盟の一員だ。

そして、私学審議会の梶田叡一会長は八木理事長らと『日本再生と道徳教育』という本を出している。私学審は15年1月、異例の臨時会を開き、条件付きだが認可適当という答申を出した。1カ月前に開かれた会議で結論が出ず、保留になったにもかかわらず。

審議の中で異論がたくさん出ている。そこまで言われたら「認可は無理」となるのが当たり前。それが「いろんなご意見があるが、まあここは一つ認可相当ということでよろしいか」と梶田会長と私学課が強引にまとめていく。少なくとも梶田会長と私学課長は誰かに言い含められたと思う。その立場にあるのは誰かといえば、松井知事以外考えられないのではないか。

松井知事は「いつでも証人喚問に応じる」などといっているが、府知事なのだから百条委員会を開いたらいい。ところが開けない。松井知事が代表を務める維新が設置を邪魔している。(つづく)【栗原佳子・新聞うずみ火】

>>>(1) 核心は財務局と首相夫人 
>>>(2) 森友問題は何も終わってない。 
>>>(4終)「特捜部のプライドにかけて追及を」

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