大阪府堺市が書類送検された煙突のアスベスト違法工事後の2017年3~4月に実施された現場の後片付けの工事で「取り残し」が存在していたとの疑惑は堺市議会に飛び火。今回は、報告書の改ざんと隠ぺいを市が認めた堺市議会でその後の議論を報告する。(アジアプレス/井部正之)

◆大阪府は不都合情報も公開

堺市議会で煙突のアスベスト取り残し問題を追及する長谷川俊英市議(堺市議会インターネット中継より)

2017年3~4月の北部地域整備事務所における煙突内のアスベスト除去工事で、取り残しを指摘した報告書の書面を市建築課が改ざんを指示し、隠ぺいを図ったことを3月5日の市議会本会議で窪園伸一建築都市局長は認めた。

この問題を取り上げた長谷川俊英市議は市の行為は私文書偽造罪に該当する可能性があると指摘。そうした追及に窪園局長は不適切な対応だったと認め、煙突内にアスベストの取り残しについて再調査をすることを約束した。

ここまでは「堺市アスベスト『取り残し』問題 『記録の改ざんは市の指示』建築局長認める」(3月8日アジアプレスネットワーク)記事にて紹介した。

今回は報告書の改ざんと隠ぺいを堺市幹部がどう受け止め、今後対応するのかについての市議会における議論である。

長谷川市議は煙突の再調査は「当然」としたうえで、5月中旬に元請け業者との打ち合わせで取り残しの指摘を確認したにもかかわらず、その書類を隠したことの重大性に言及する。

大阪府に対して提出された報告書。クロシドライト(青石綿)の散乱などが指摘されているがそのまま情報公開された(古川和子さん提供)

さらに環境省や国土交通省のマニュアルなどでアスベストの取り残しがないよう除去することが記載されていることなどから、市の対応の不十分さも指摘した。

窪園局長は「市が(報告書を)確認したときに重要性を気づき、分析機関に内容や状況を確認。そのうえで調査等の対応をすべきだった」と市側の対応の誤りを認めた。

古川さんは堺市だけでなく、大阪府に対しても同様の報告書の情報公開をしている。大阪府が公開した報告書では、同じ分析機関がクロシドライト(青石綿)が壁面にへばりついていたり、廊下に散乱しているとの指摘や証拠写真も含まれていた。

大阪府立・金岡高校の報告書には、校舎内の渡り廊下にクロシドライト(青石綿)が散乱しているようすが指摘されていたが、そのまま開示された(古川和子さん提供)

長谷川市議は「こんなことは言いたくないが」と前置きし、「松井(一郎)知事のもとでは自分たちに都合が悪い文書がすべて公開された。竹山(修身)市長のもとでは市にとって都合の悪い文書が削除された」と指摘した。

2016年6月における違法工事発覚後、同9月の市議会で長谷川市議は市の対応に対する疑問点の1つとして、情報提供のあり方を挙げた。

当時、島田憲明建築都市局長は9月1日の定例会で「(アスベスト飛散事故の事実について)少しでも早く情報をお伝えすべきことであったと反省している」と回答。竹山市長も「今後このような事態を二度と引き起こさないように、しっかりと庁内で連携を図ってまいりたいと考えております」と答弁している。

こうした経緯をふまえ、長谷川市議は「同じような情報提供をめぐる問題が2度も起こった。市長は日頃から市民目線という。大賛成だ。これが市民目線の処理か。私からすると役人目線。自分たちの保身のために記録隠しをした」と迫った。

竹山市長は前日に公務の帰りに現場を見たことに触れ、「安全が確保できていると報告を受けている。昨日も当該煙突の封鎖を確認した。(古川さんら)『家族の会』への対応は公務員の基本、丁寧、慎重さを欠いた対応。遺憾に思っている」と述べるにとどまった。

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