(参考写真)平壌中心部の牡丹江区域のアパート街でジャガイモを売る若い女性。2011年7月 撮影ク・グァンホ(アジアプレス)

◆金正恩氏は強がっているが…

北朝鮮の首都、平壌でも経済悪化が進んでいる。国際社会の経済制裁によって中国への輸出が激減し、市場活動が大不振で生活に窮する人が増えているという。3月に平壌から中国に出国して来た貿易関係者が、アジアプレスの中国人メンバーの取材に応じた。(石丸次郎)

――平壌の経済状況はどうか?
「大不況だ。とにかく商売不振がひどい。市場で物が売れず、売り場の場所代(市場税)を払うと赤字になるからと商売をやめる人が多い。中区域、モラン区域など市中心部の市場ですら空きが目立つ。市内から郊外に出るバス便が半分以下になった。これはトンチュ(新興富裕層)たちが投資して作った会社が運営して稼いできたが、乗客も荷物を運ぶ商売人も減ってしまい経営が悪化した」

――平壌の電気事情はどうか?
「電気事情も悪くなった。一般住民地区への電気供給は一日に4時間程度ではないか。余裕のある家は中国製の太陽光パネルを購入して夜間の電灯に使っている。住民地区への電気供給を減らして、外国人が訪れる中心部、軍需工場地区、党、政府機関に優先的に回している。それでも電気料金が近々また値上がりするという噂がある」

――住民への食糧配給はどうか?
「昨年から平壌市民対象の配給は廃止された。今では機関、企業所別に配給するようになった。そのため職場によって配給の量も質も異なる。一般的な職場では白米と雑穀の比率が1:9くらいだろう。給料も配給も止まった会社もある。退職した老人世帯は(配給がなくなり)厳しいと思う」

※注 90年代の経済破綻によって食糧配給制度は崩壊したが、唯一平壌だけが全住民対象の配給が維持された。いわゆる「首都米」である。平壌住民対象の配給が廃止されたのは2017年という説もある。制裁の影響によるものか経済改革の一環なのかは不明。

――富裕層、高位層への打撃が大きいというが?
「破綻、没落した富裕層がどれだけ多いか。貿易商社や(中国に輸出して来た)石炭を扱っていた会社がたくさん潰れた。自分の会社は、(中国への)労働者派遣になんとか活路を見出そうと努力している。自分のような人間が労働者の受け入れ企業を探しに中国に出て来ているが、うまくいかない。第二次朝米会談(2月末のハノイでの金正恩―トランプ会談)で、制裁が解けると皆が期待したのにダメで失望が広がった。中国のパートナー企業には朝鮮ビジネスをあきらめた所もある」

――国内に不満が拡がっているのではないか?
「もう笑うしかないでしょ。不満だらけでも口に出せないんだから」

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