◆アスベストの見落とし“多数”

にもかかわらず、それらの1か所たりともこれまで報告されていなかったのだからひどいものだ。

市財産活用課に対し、過去に除去した箇所の取り残しは大丈夫なのかと聞いたことがあるが、その際は「問題ない」との説明を受けた。実際にはアスベストが残っていたわけだ。

調査者協会の担当者はこうも説明していた。

「その取り残しがある部分は我々の装備だけでは木毛板を全部外したりできなかったので未調査箇所として入れています」

吹き付けアスベストの取り残しがある以上、天井裏にも散乱している可能性があり、隔離養生や集じん排気装置を設置して、吹き付け材の除去と同様の装備・体制でないと天井に使用されている木毛板の除去ができない。

だからこそ現段階では調査できなかった「未調査箇所」として記載しているわけだ。

この間2回の説明会で何らかの理由で調査できなかった箇所があるとの説明は一切なかった。こうしたあたりにも過去の調査のずさんさが表れている。

市財産活用課によれば、前回の調査でアスベストの見落としが判明したのは、上記の吹き付けアスベストの取り残し(レベル1)のほか、屋内の内装仕上塗材(レベル1ないし3)、屋上やトイレのアスファルト防水、床の接着剤などである。

市側で言及しなかったが、ソフト幅木も同様である。つまり、少なくとも5種類の建材で見落としがあったことになる。

市は説明会の資料として住民に対して詳細な調査ミスの内容が記載された資料を配布しておらず、また説明も上記程度のごく簡単なものだったため、棟やフロアごとに上記の建材があれば同様にアスベストの見落としが起きていた可能性があるという程度しか現状では明らかにされていない。

厳重な対策が必要とされるレベル1建材に限って図示された箇所を数えると、吹き付けアスベスト(レベル1)の取り残し5か所、内装仕上塗材(レベル1ないし3)19か所とわずか2種類だけで24か所に上る(仕上塗材は吹き付け施工の場合レベル1でローラー塗りの場合レベル3だが、現段階では明らかになっていないためレベル1として計上)。

それ以外の調査ミスをきちんと調べると、いったいどれだけあるのか。現段階では“多数”というしかないが、下手をすると3桁の大台に乗りかねない。

すでにアスベスト含有成形板などレベル3は9割がた除去された後の再調査でこのありさまなのだ。あまりにもずさんといわざるを得ない。

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