<アスベスト問題>府が守口市を行政指導 旧庁舎解体で大気汚染防止法違反の「可能性高い」

旧庁舎解体のアスベスト対策で不手際が相次ぐ大阪府守口市。5月開催の説明会で明らかになった違法工事の可能性がある不適正な作業について、府が市を行政指導していた。(井部正之/アジアプレス)

◆アスベスト除去せず一部解体

守口市が5月15日に開催した説明会で、「建築物石綿含有建材調査者協会(貴田晶子代表理事)」による現場の再調査結果として、多数のアスベストの見落としだけでなく、アスベストを除去していないにもかかわらず一部の壁を解体していたという大気汚染防止法(大防法)や労働安全衛生法(安衛法)石綿障害予防規則(石綿則)違反の可能性のある不適正な作業が報告された。

本館3階の内壁に仕上げ塗材が使われていたが、以前の調査結果ではアスベスト「不検出」だったとして一部解体したが、再調査によって同じ施工とみられる隣接する壁などの仕上げ塗材からクリソタイル(白石綿)の含有が判明したのである。

説明会後の同17日、大防法における監視・指導を担う大阪府環境管理室事業所指導課に確認したところ、上記の不適正な作業について知らず、市から「とくに相談なかった」と話していた。

6月6日改めて確認したところ、府は5月20日に市から、「(本館3階の)内壁、先行で解体したところに(アスベストを含む)仕上げ塗材が入っている可能性が高いと説明された」と明かした。

環境省や厚生労働省、府はアスベストを含む仕上げ塗材については、吹き付け工法による施工が明らかな場合、届け出が必要で、ローラー塗りの場合は対象外としている。また工法がわからない場合は吹き付け工法として届け出するよう指導している。

府は内壁の解体物に実際にアスベストを含有しているかどうかの調査は指示していないが、「市から(アスベストが)あった可能性が高いと報告を受けており、そう判断した」という。

大防法では発注者に届け出義務が課せられており、今回の件では工法は判明していないものの、府は届け出義務違反の可能性があるとして同日、市を指導した。

「ローラー塗りか吹き付けか確実でない以上、完全に違反であるとか違反でないとか断定はできない。今後の作業については吹き付けられたものとみなして全部届け出対象として作業するようにと指導しました」(同課)

疑問なのは違法性のある作業についてこの間、市が自ら説明してこなかったことである。
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