(参考写真)サマーセーター着ておめかしした女子中学生。韓国や中国ファッションの影響は明らかだ。2013年10月恵山市にて撮影アジアプレス

◆金正恩政権は韓国文化を徹底遮断

恵山市に住む取材協力者が7月6日に伝えてきたところによると、北部の両江道恵山(ヘサン)市で、高級中学(日本の高校に該当)の生徒約10人を含む16人が、動員された約500人の前で糾弾される「公開暴露集会」があった。

【関連写真を見る】 ここは北朝鮮? 超ミニスカートからミッキー、キディまで 拡散止まらぬ「敵国文化」(10枚)

「公開暴露集会」があったのは7月2日で、場所は市中心の恵山映画館前の広場。協力者は、集会に動員された人に会って話を聞き、次のように伝えてきた。

「中学生と住民が約500人動員されていた。そこに引きずり出されてきたのは男7人、女9人で、そのうち10人くらいが高級中学の生徒だった。韓国と米国のドラマや映画を見た者、複写して貸したり販売した者で、一人が捕まった後、芋づる式に検挙されたと道保安局(警察)の幹部が罪状を説明したそうだ」

「公開暴露集会」では、韓国のドラマを、健全な社会主義にとって毒薬のようなブルジョア映像物、退廃的で腐った資本主義の幻想をまき散らすウソの宣伝物だと批判。

「それを事実だと思い込んで見ている。全群衆的な申告体系をしっかり打ち立てて、こんな現象が私たちの社会で根を張らないようにしなければならない。また、親は、子供をちゃんと教育して、子供がこのような悪い道に足を踏み入れないようにしなければならないと強調していたそうだ」

現在、高校生ら16人は追加の取り調べを受けており、罪の程度に応じて処罰されるという。

「親たちは、党員の場合は党から除名され、職場からも追放されることになるだろう」
と協力者は述べた。

北朝鮮では、今年3月に北部の茂山(ムサン)郡で、韓国で大ヒットした映画「タクシー運転手」が、若者の間で密かに回覧されていたことが発覚、大きな事件になっていた。金正恩政権は南北対話を進める一方で、韓国文化の流入と拡散に対し厳しい態度で臨んでいる。(カン・ジウォン)

※アジアプレスでは中国の携帯電を北朝鮮に搬入して連絡を取り合っている。

★新着記事