米海軍厚木基地の周辺の住宅地上空を訓練飛行する米軍のジェット戦闘攻撃機(2007年撮影・吉田敏浩)

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◆横浜米軍機墜落事件では軍関係者は誰も責任を問われず、損害賠償額は日本政府払い

 「妻に重傷を負わせ、私たちの生活を破壊した墜落事故はなぜ起きたのか、誰に責任があるのか、被害者には知る権利があるはずです。ところが、米軍にとって都合の悪い情報は出さなくてもいいという密約があったとは知りませんでした。被害者が裁判を起こして、事故や事件の真相に近づきたくても、最初から近づけないように、大きな黒い網をかぶせて事実を隠蔽する仕組みをつくっていたとは……」

 横浜で起きた米軍ファントム機墜落事故(1977年9月27日)の被害者の椎葉寅生さんに、私が取材で日米合同委員会の「民事裁判権密約」の存在を知らせたとき、椎葉さんは驚くとともに、憤りの声をもらした。(吉田敏浩・アジアプレス)

 椎葉さん夫妻が損害賠償を求めた民事裁判で、原告側は日米合同委員会の事故分科委員会の事故調査報告書の公表も求めた。

 しかし、国側(日本政府側)は「アメリカとの合意がないから」という理由で公表せず、その要旨だけを証拠として提出した。

 日米合同委員会の文書は原則非公開、秘密にするという方針が徹底されていたのである。

 「驚いたことに、それは日付も作成者の名前もない文書でした」(椎葉さん)

 「横浜市内米軍航空機事故に関する報告について」というその文書は、米軍機のエンジン部品の取り付け不具合(不良)が、事故の原因だと指摘していた。

 しかし、「地上整備員及び乗員は、軍規則により必要とされている飛行前の点検を行った。不具合は発見されなかった」とし、「不具合が起こりそうな徴候はなかったし、また、現地部隊の通常の整備点検又は手続では、この不具合を予知し、又は防止することは期待できなかった」と結論づけていた。