まさに米軍の軍事的な都合を優先させている。
その結果、本来、日本側で裁くべき米軍人や軍属の罪が見落とされ、見逃されてきたケースも少なくないはずだ。

しかし、驚くべきことには、日本の法律である刑事特別法(地位協定に伴う米軍関係の刑事事件に関する法律)の第11条では、日本国当局に逮捕された米軍人・軍属の身柄は、公務中だったと明らかに認められた場合にのみ、米軍側に引き渡すと規定されているのである。

つまり、明らかに公務中と認められない段階、すなわち公務中だったのかどうかはっきりしない段階では、身柄を米軍側に引き渡してはならないのだ。

だから、公務中だったのかどうかはっきりしない段階でも、身柄を米軍側に引き渡すという日米合同委員会の合意=密約は、刑事特別法という国内法の規定に違反している。

つまり、密約が法律を超越して運用されているのだ。
表向きは刑事特別法に従って処理されるように見せかけて、裏では日米合同委員会の秘密の合意に従って処理する仕組みがつくられているのである。

それは法治国家としてあってはならないことだ。

密約により「憲法体系」を無視して、米軍に特権を与え、米軍優位の日米地位協定による不平等体制を維持するための「密約機関」。

それこそが日米合同委員会の正体である。
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*関連図書
『「日米合同委員会」の研究』謎の権力構造の正体に迫る(創元社)吉田敏浩 2016年
『横田空域』日米合同委員会でつくられた空の壁(角川新書)吉田敏浩 2019年
『日米戦争同盟』従米構造の真実と日米合同委員会(河出書房新社)吉田敏浩 2019年