◆特別報告者の日本政府への通知書

国連特別報告者は47の理事国からなる人権理事会から任命され、44のテーマと12か国について専門家が任命されている。表現の自由などのテーマ別の特別報告者は、毎年2,3か国を選んで公式調査訪問を行い、人権理事会に報告する。ケイ氏は2016年に日本の公式調査訪問を行い、3年後の2019年6月にはフォローアップ報告書を発表している。

加えて特別報告者は、人権侵害に関する情報を被害者の支援者などから「通報(communication)」として受ける。そして、通報に基づいて調査を行うことになった場合、通報対象となった人権侵害について関係する政府に通知書を送付し、情報提供を求めたり、対応策を講じるよう要請したりすることがある。また、通報をきっかけに、関係する政府に対して勧告が出されることもある。

ケイ氏はこれまで、沖縄の辺野古埋め立てに反対し名護市辺野古の新基地建設などに対する抗議活動を巡って威力業務妨害などの罪に問われ逮捕された山城博治氏の拘束(2016年)と、安倍首相と暴力団との疑惑を追うジャーナリスト山岡俊介氏が新宿の階段から14段転げ落ちた事件(2018年)に関する通報を取り上げて、日本政府に通知書を送っている。

山岡氏の件はメディア関係者の中でもあまり取り上げられていないようだが、国境なき記者団は日本政府に対する声明を発表している。政府に不都合な情報を調査し報道するジャーナリストが狙われるケースは世界でも増加しており、国際的にもユネスコと国連が「ジャーナリストの安全」について長年イニチアチブを取って活動している。その一環としてケイ氏はこの件を重く見て、政府に問い合わせをしているのであり、国内でももっと注目されるべきだろう。(続く)

(1)「官邸による取材・報道の自由侵害に抗議する緊急声明」
http://npj-net.lolipop.jp/pdf/2019/190219kinkyuseimei,sandonin.pdf

(2)新聞労連「首相官邸の質問制限に抗議する」
http://www.shinbunroren.or.jp/seimei/20190205.html