デビット・ケイ氏と筆者。

◆日本政府の回答

ケイ氏からの問い合わせに対し、約2か月後に日本政府は次のような回答を送っている。

「記者会見の内容は首相官邸ウェブサイト上に載るだけでなく、他のメディアによってライブストリームで流される。…(中略)官房長官と記者団とのやり取りは、会見の終了次第、国内でも海外でもウェブ上で閲覧できる。従って、そのやり取りが、誤認に基づく質問によるものであると、国内外で幅広く誤解を生じ、多くの人が間違った認識を持つことになる。そういう場合は、記者会見の重要性が損なわれる。」「上記のような理由で、東京新聞の特定の記者が会見中に事実誤認に基づいた質問をした場合、会見中に事実誤認に基づく質問は避けるよう東京新聞社に協力を要請した。そして東京新聞社からは、今後はその記者が事実に基づき、要領を得た質問をするように指示するという回答を何度も受けてきた。それにもかかわらず、2018年12月26日の会見でその記者が事実誤認に基づく質問をしたので、2018年12月28日の文書で、官邸記者クラブに所属する報道機関に上記の懸念を伝えた。」(4)

この日本政府の回答について、日本外国特派員協会の報道企画委員会委員長で上智大学の非常勤講師も務めるデビッド・マックニール氏に感想を聞いたところ、次のようなコメントをもらった。

「全くばかげている。政府が『誤った情報』が会見で拡散されるのを恐れるために、ジャーナリストが罰せられたり非難されたりするのを政府が要求できるという考えは全く説得力がない。デスクや上司に連絡する理由として考えられるのは、記者が意図的に混乱させるようなことをした場合だけだ」「例えばイギリスの記者会見や、日本でも外国人特派員協会の記者会見を見たら、ジャーナリストは様々な質問をする。奇抜な質問や変な質問もあるし、中には「事実誤認に基づく質問」もある」「誰が質問できるか、というのを決めるのは日本政府じゃない。それは専門の報道機関の仕事。そして、まだ望月記者が読者と編集者の信頼を得ているなら、彼女は自由に質問し続けられるべきだ。」

マックニール氏の言うように、イギリスで政治家への記者会見やインタビューを見ていると、記者はかなり突っ込んだ質問をしている。ここでは望月記者程度の「しつこさ」は特別なことではなく、それ以上に噛みついている記者は多数いる。政治家には耳の痛い質問も少なくない。そして政治家もそれから逃げたりしない。逃げずに記者会見やインタビューにきちんと対応するのか、またどのように対応するのか、ということはその政治家を評価する重要な指針の一つと考えられている。これに関連して、イギリスの政治家のメディアに対する見解も紹介しておきたい。
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