いよいよ就任式まで、あと1週間に迫った。総統選挙の票の数え直しという間の抜けた作業が始まったが、市内の情況は水を打ったように静かになっている。

南米諸国を中心に元首が15名、米国政府ならびに日本の自民党代表の出席も決まり、市民が外向きの顔をし始めたからである。面子第一の民族性がこうしたところに発揮される。
(写真:総統府前で選挙無効を訴える人々。その背後に、中国国民党本部ビル。)

就任式の妨害を放言していた野党党首も、足元からも批判を浴びるようになって、発言を控えるようになった。馬英九市長が、整然と式をおこないたいという意向を明確にしたのも大きい。なにより、台湾は豊かである。誰も事件、事変を望んでいないのである。

就任式が平穏におこなわれる見通しとなって、馬市長の動向に改めて関心が集まっている。陳総統からの招待を受けるかどうか。国民党副主席の肩書きも持つ市長は、この間、国民党主席の連戦や親民党主席の宋楚瑜らと一線を画す姿勢をしだいに見せ始めている。

この2人をおいてきぼりにして、自分だけ就任式に出席すれば、馬時代の到来を暗示させるものとなる。市長はこのタイミングが正しいかどうか、最後まで情勢を読み続けるだろう。
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