omura071011_2.jpg【バム郊外の椰子園】

イラン国内ではアヘンやヘロイン中毒が社会問題化しており、当局はアフガニスタンやパキスタンからの麻薬流入阻止にかなり力を入れている。
国境区域ではイラン治安部隊と密輸グループとの銃撃戦も珍しくなく、徴兵された若者が多く命を落としている。
麻薬撲滅キャンペーンの際、「あなたが手にするその麻薬のために、イランの若者の尊い命が失われている」とイランの新聞に書かれていたのが記憶に新しい。

一方、麻薬密輸組織は、治安部隊に対抗するほどの武力を備え、治安部隊と衝突するだけでなく、報復として地方の当局者や軍の車両などを襲撃したりする。
さらに、パキスタンと国境を接するスィスターン・バルチスターン州では、イランでは少数派のスンニー派であるバルーチ族が強い自治権を求めて反政府活動を行い、しばしば麻薬密輸組織と連携を取っていると言われる。

中村さんが誘拐されたイラン南東部とはこうした背景を持つ土地であり、手放しで安全であるとは言えない土地であることは確かだ。<つづく>

★新着記事