取材映像の著作権は通常は個人にある

tama_afghan_03apn.jpg【取材映像をテレビ局で編集する刀川和也】

テレビ局との関係で留意しなければならない点に、映像の著作権がある。
通常、取材した素材の基本的な著作権は、取材者個人にある。
ただ、取材費をもらい、委託された取材の場合は、取材の成果物である素材はテレビ局に属する。

また、制作会社がテレビ局から制作を委託され、その仕事をフリーランスに割り振った場合も同様である。
アジアプレスの場合は、「著作権売り」は行わず、おもな映像は他のテレビ局でも発表できる余地を確保している。
「著作権」を手放すことを前提とした仕事は、たんなる「請負仕事」になってしまう。
テレビ局の補完的、下請け的な仕事はやらない、ということだ。

ただ、この場合はテレビ局から支払われる金額は「著作権売り」よりだいぶ安くなる。
番組での映像使用権(再放送も含む)はあっても、テレビ局は映像そのものを自由に使う権利を持つことはできないからである。
近年、著作権に関するテレビ局サイドの締め付けは厳しくなりつつある。
ネットでの放映や番組のビデオ販売などを視野に入れ、「コンテンツ」を確保しておきたいからだろう。

また再放送の回数を増やすことで番組枠を埋め、制作費を削減するという狙いもある。
おもな制作会社が加盟する全日本テレビ番組製作社連盟(ATP)は著作権の問題で、NHKなどと交渉を重ねているが、仕事の発注先であるテレビ局との力関係で、立場は弱い。

フリーランスとテレビ局の関係
現在のフリーランスとテレビ局の関係を俯瞰した場合、付き合い方には3つのパターンがある。
第1は個人でテレビ局へ企画を持ち込み、単独で番組にかかわる場合。
これは相当な実績があるジャーナリストでなければ相手にしてもらえない。
テレビは雑誌と違って、「持ち込み」という形は少ない。
たまたま事件の現場を目撃したというようなスクープの売込みを除けば、ディレクターとの直接交渉が可能なジャーナリストは、広河隆一、土井敏邦、神保哲生などごく少数だろう。
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