【アフガニスタンの女性たちを取材する玉本英子】

2番目は、制作会社と契約をする場合。
制作会社の中には、ニュースをメインに番組制作を行っているところもあり、その会社と契約を結ぶ。

長井健司とAPF通信社、アフガンやイラク報道で有名な遠藤正雄と日本電波ニュース社の関係は基本的にこのケースに分類される。

北朝鮮報道などで気を吐くジン・ネット社(高世仁代表)なども、フリーランスに対して随時、契約に近い形で仕事を委託、プロデュースしている。

3番目は、フリーランスが自ら組織を作って、テレビ局と交渉する場合。
アジアプレスやジャパンプレスがこれに該当するが、類似のグループは少ない。
それぞれのジャーナリストたちの映像作品のプロデュースや出演交渉は、組織の代表が行う。

テレビ局からの報酬
ここでテレビ局から支払われる報酬について少し触れておきたい。
まず、ビデオ映像を素材で売るときの料金は、アジアプレスの場合、1秒あたり3000円を基準にしている。
例えば、ニュース番組で1分間映像を使えば18万円ということになる。
特集などで使用する時間が長くなる場合は、グロスで値段を決めることもある。
ただ、同じニュースといっても、早朝から、昼、夕方、夜のメイン・ニュースまで、番組によって予算が違うので、その都度交渉することになる。

また、スクープ性の強い映像や難易度の高い取材の場合も、別途話し合いとなる。
一見、映像素材の値段は高いように思えるが、ニュース価値のある取材には時間とカネがかかっている。
前出の玉本英子の例で示したが、実際はイラク取材でも、赤字となるケースの方が多い。
この料金でも決して「儲かっている」わけではない。
ドキュメンタリーの場合は、NHK・BSで50分程度の完パケ(仕上た状態で納品)が一千数百万円。

この中から取材費、人件費など、編集、仕上げまでのすべて経費を差し引いた額が利潤となる。
長期の海外取材を伴う場合は、この金額でも採算ギリギリで、時には赤字になることも覚悟せねばならない。
民放の場合はフリーランスが関われるドキュメンタリーの枠はほとんど消滅しており、深夜枠で残っている番組も制作費は150万円から300万円ほど。
これでは採算が取れそうもない。
(敬称略) (つづく)

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