
ずっと北朝鮮の女性たちを苦しめてきた水問題は、近年さらに深刻化し、いまや社会的政治的問題となってきている。
 「米・電気・水」。2006年に至ってもこの「三大問題」すら解決できずにいる沈没船「先軍号」から距離を置こうとする幹部たちの姿があちこちで見られる。
労働者のチュンサムとホソクは、貧しい地区に住む朝鮮戦争後に生まれた世代だ。
 彼らの友人であるギョンイルもかつて同じ地区に住んでいたが、幹部である彼は少し前に他の村へ引っ越した。
 この資料は、この三人の幼なじみが2006年11月に集まった時のものである。
 チュンサム:それはそうと、ギョンイル、今年の冬は水道が出ないというのは本当か?
 ホソク:お前、引っ越した先は電気も来てないんだろ?ロウソクでも灯して暮らしてるのか?
ギョンイル:新しい家にはポンプを入れたんだ。水道ぐらい、国家がくれるならもらうし、くれないなら自分で解決せんとな。
 それで、朝な夕なポンプで水汲みさ。女房もポンプ、俺もポンプ。
 チュンサム:たしかに、党の「自力更生」のスローガン貫徹のためには、幹部が先頭に立たんといかんもんな。各自、自分の家でやれってな。ハハハ。
 ホソク:でも、幹部はいいよな、さっさとポンプを設置できて。
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