うちの近所で水が出なくなった日にゃあ、もう大変なことになるんだ。五日間も水が止まってみろ。自転車の行列、リヤカーの行列で、通りは大騒ぎだよ。まるでジャンマダン(市場)だよ、ジャンマダン!
水を汲みに行ったって、自分が先だの、ちゃんと並べだの、怒鳴り声は行き交うわ、どつき合いは始まるわ、もう大変なんだから。
ギョンイル:お前たちも自分とこでボーリング打てよ。ここだって掘れば水、出るぞ。

チュンサム:こんな貧乏地区には地下水もないんじゃないか? 裏山がはげ山なのに、そう簡単に水が出るかね?
ホソク:うちの人民班(隣組)ではまだ会議をしてないんだが、向かいの班では「近所同士集まってボーリングを深く打ち込め。でないと、冬になったら水道は出ないぞ」ってのが行政の指示だったらしい。
ギョンイル:そうだよ。掘れば出るんだ。

ホソク:「冬になったらいっさい電気はないだろうし水も出ない。皆でボーリングを打て」。
それで、どこかの家でボーリング打ったら、「そこが水を分けてやれ。一緒に掘った人たちにはただで、それ以外の家からは金をもらえ」って指示を出したそうだ。

だから皆が言い合っているのは、「俺たちにも水(ミネラルウォーター)を買って飲むような時代が来るぞ」ってさ。
チュンサム:いや、冗談ぬきで、こんなひどい暮らしなのに、本当に水まで買わなきゃならなくなるんかいな?
全員:ハハハハハ。
(つづく)
資料提供:2006年12月 記者シン・ドソク(申導石)整理:チェ・ジニ

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