(参考写真)路地を徘徊する女性兵士。 階級章が副官なので軍服務の後期のようだ。2013年6月、両江道で撮影「ミンドウルレ」(アジアプレス)

北朝鮮政府が今年の軍入隊者の兵役期間を男子8年、女子5年に確定したと、アジアプレスの複数の取材協力者が伝えてきた。「初募」(新兵募集)の時期を迎え、北朝鮮では新兵の入隊行事が全国で行われている。(チョン・ソンジュン/カン・ジウォン)

◆ミサイル部隊や機械化部隊など特殊兵種は10年

アジアプレスでは、毎年3~4月に軍の新兵募集状況を調査してきた。取材協力者が居住地域の「軍事動員部」関係者や、入隊予定の子どもを持つ親などから情報収集する方法を採ってきた。

今年も3、4月にかけて、北部地域に住む複数の取材協力者が新兵の服務期間を調べたところ、昨年と同様に男子は義務制で8年、女子は志願制で5年であった。

「ミサイル部隊や機械化部隊のような特殊兵種に限っては、男子10年が適用されるなど、兵種によって多少の違いはあるが、基本は男8年、女5年だ」と、調査した協力者は言う。

※軍事動員部 国防部隊列補充局傘下の兵役事務を担当する部署。各道、市、郡に設置され地域の新兵の入隊事務を担う。

(参考写真)新兵を見送る住民たち。毎年4月になると、全国で新兵入隊行事が盛大に行われる。2006年に清津市で撮影 リ・ジュン(アジアプレス)

◆90年代飢饉で乳幼児が大量死…新兵不足で兵役が一時13年に

北朝鮮の軍服務期間は度々変更されてきた。その始まりは「苦難の行軍」と呼ばれる90年代半ばからの社会混乱と大飢饉である。当時、多くの乳幼児が死亡し、また生き残っても栄養失調で成長が悪く、この「飢餓世代」が軍に入隊する時期になった2010年前後から、朝鮮人民軍は、深刻な兵員不足に悩まされるようになった。

それまで10年前後を維持していた男子の服務期間は、2014年に11年に延長され、さらに2019年には、なんと13年に延びた。さらに志願制である女子の入隊を強く奨励した。いずれも「飢餓世代」以降の深刻な兵員不足を補うためであった。

しかし、多くの若者を兵営に送ることで、社会に激しい副作用が発生した。協同農場、工場、炭鉱などの生産分野で労働力不足が深刻化したのだ。そのため金正恩政権は、2021年に男子の兵役期間を13年から8年に、女子は8年から5年に大幅に短縮することを決定、既に該当年限に達していた将兵らを除隊させ、農場や炭鉱などに集団配置した。その傾向は現在も続いている。

◆女子の入隊比率増 親は飢え心配して娘・息子を軍へ

取材協力者の調査によると、今年の「初募」では、女子の選抜比率が格段に高まったという。

「高級中学校(高校に該当)の卒業生のうち、大学や専門学校に進学推薦を受けた少数を除いて、男子は基本的に皆軍隊に行き、女子の選抜数もとても増えたそうだ。女子学生の60%程度が入隊することになったという話もある」

地域差もあるので、全国的に女子の入隊比率がどれくらいなのか不明だが、女子の軍入隊をさらに強く進めているのは間違いないだろう。また、別の協力者は次のように軍入隊者が増えている理由を説明した。

「経済があまりにひどく、どうやって食べていくか誰もが心配している有様なので、軍隊に入ればとりあえず飢え死にすることはないだろうと、多くの親たちが娘・息子を軍隊に送ろうと考えるようになった」

※アジアプレスでは中国の携帯電話を北朝鮮に搬入して連絡を取っている。

 

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