有刺鉄線の内側で警備する若い兵士たち。痩せている。北朝鮮の男子の兵役は世界最長の8年。2021年7月に新義州市を中国側から撮影 アジアプレス

◆男8年、女5年…長期の兵営生活で社会適応に苦戦

8年に及ぶ長期の兵役を終えた除隊軍人の社会不適応が北朝鮮では以前から社会問題となってきた。ここ数年は除隊すると、人員不足が深刻な農場や炭鉱などに強制的に配置されるケースが多く、不満を抱く者による職場離脱や暴力事件、強盗などが頻発している。手を焼いた当局は故郷の近くに集団配置するなど、新たな対応を模索している。(カン・ジウォン/チョン·ソンジュン)

◆男8年、女5年…長期の兵営生活で社会適応に苦戦

北朝鮮では、一般的に成人男性は高級中学校(高校に相当)を卒業する17~18歳から兵役に就かねばならない。アジアプレスでは毎年春に、国防省の隊列補充局傘下の軍事動員部という軍服務を司る役所を訪ねて、兵役期間の実態を直接調査してきた。

兵役義務がある男子の2023年の服務期間は8年間。女子は志願制で服務期間は5年だ。2021年3月に、男子は13年から8年に、女子は8年から5年に短縮され現在に至っている(2024年度は未調査)。

感受性が最も豊かな時期に外部と断絶された生活を送り、30歳近くになってやっと除隊するので、社会にうまく適応するのは決して容易なことではない。そのため除隊軍人による事件事故が後を絶たないのだ。配置された職場や地域で、業務怠慢や喧嘩、窃盗、強盗などが頻発して社会的な物議を醸しており、当局は頭を痛めていた。

◆農村や炭鉱への「無理配置」で大きなストレス

除隊軍人の社会不適応の最も大きな理由は、短縮されたとはいっても依然として世界で最も長い兵役を強制する軍事動員政策にある。さらに、除隊時の「無理配置」に対する不満も強烈だ。 「無理配置」とは、兵士の希望や能力、出身地と関係なく、国家の命によって職場を決めることを言う。近年は労働力不足が深刻で不人気の協同農場や炭鉱に集団配置するケースが多い。

長期間の軍営生活から解放されたばかりなのに、本人の意思がまったく考慮されないまま、国家の都合で職業と居住地が決められることによる大きなストレスが、様々な事件・事故を引き起こす理由になっている。

当局は対応策として、今春から“改善策”を導入することになった。咸鏡北道(ハムギョンプクド)茂山(ムサン)郡の取材協力者が2月中旬に伝えてきた。

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