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【護衛艦「さわぎり」の母港、海上自衛隊佐世保基地をのぞむ】
【護衛艦「さわぎり」の母港、海上自衛隊佐世保基地をのぞむ】

第1章
自殺した自衛官とその両親が訴えるもの
人間を資源というのはおかしい

防衛省によると、1999年度から2006年度までの、年間の自衛官の自殺者数は、62人、73人、59人、78人、75人、94人、93人、93人である。1970年代の年間20~30人程度と比べると激増している。

自殺の原因として防衛省側が推定し分類しているのは、病苦、借財、家庭の悩み、職務上の悩み、その他不明である。いじめという分類はないが、「その他不明」に括られているのではないか。

「年度別の自衛官の自殺者数の表を見ていると、数字になった、いえ数字に変えられた我が子を目の当たりにする思いで、苦しく、狂いそうです。子を失った親は狂ってしまうか、立ち上がるかしかない。のたうちまわる自分と向き合って立ち上がるしかない。そう考え続ける毎日です...‥。

同じようなことが繰り返されないためにも、真実を明らかにし、国の責任を問い続けたいと思います」
こう語る鈴木佳子が、気がかりな言葉があるという。それは「人的資源」である。息子が自殺してから、熱心に自衛隊関連の情報をチェックするようになった佳子は、NHKのテレビ番組『日曜討論』(2003年6月8日)で、自衛隊のイラク派遣問題をめぐる与野党国会議員の討論を視ていて、その言葉を知った。自衛隊イラク派遣の推進者、山崎拓自民党幹事長(当時)が、
「自衛隊という資源を、人的資源を我々が持ってる以上、しかもそれに膨大な予算を費やして維持してるわけだから、それを国際貢献に使わないという手はないわけで」と発言したのである。それを聞いて佳子は、強い違和感と疑問を覚えたという。

「資源というのは消費するものですよね。人間を資源というのはおかしい。自衛官を使い捨てにするような発想が表れていると思います」
彼女は、我が子の痛ましい死と自衛隊という組織の壁に向き合うことを通して得た鋭敏な直覚によって、国家に潜む人命軽視の体質を見抜いたのである。
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