韓国と米国からの支援食糧が封が切られないまま市場に並んでいる。(2004年7月リ・ジュン撮影)

韓国と米国からの支援食糧が封が切られないまま市場に並んでいる。(2004年7月リ・ジュン撮影)

 

07年「市場抑制」はいったい何を意味するのか 5 リュウ・ギョンウォン
市場を食い物にする特権集団
ここで、現在の「市場抑制」を考える上で、いくつかの点に留意しておく必要がある。
一つは、当時もし金日成が生きていて、「党中央」をはじめとする特権機関の度を越す外貨調達を阻止するのに成功していたならば、また、一九九四年に予定されていた韓国の金泳三との首脳会談も成功裡に開催されるなどしていたら、朝鮮もひょっとしたら中国のように、次第に改革開放に進んでいたかも知れないという点だ。

現在の朝鮮は、国家的な管理もなしに、少数特権集団の利益だけが絶対視される状況、つまり国民の利益、国家の利益を代表しようとしない集団が、権力を独占して大手を振っているような状況に墜落してしまっている。
もう一つ留意して欲しいのは、すでに見た通り、少数特権集団の外貨調達ビジネスは、その特性上、計画経済と「ジャンマダン経済」(朝鮮にまだはっきり存在しない「市場経済」という用語が使用できないので、この表現を使う)双方に寄生しなければならないシステムだということだ。

であるから、朝鮮を政治的、経済的、社会的に支配する特権集団の既得権益であるこの外貨調達ビジネスは、とにもかくにも「われわれ式社会主義制度」を固守しなければならず、計画経済といううわべの飾りを必要とするという点だ。

飾りである「われわれ式社会主義制度」が崩壊するまでは、国家の仮面を付けて自分勝手に跳梁する「革命の首脳部」とその下にいる特権集団は、必ず大衆の「ジャンマダン経済」を存続させ、自分たちの利潤の幅をさらに拡大しようとするだろう。

まさにここに、二〇〇七年秋から始まったことが、市場の「弾圧」ではなく「抑制」であるとする見解の根拠がある。
しかし「弾圧」ではなく「抑制」だと表現するからといって、倫理や法治の面でましだという意味ではない。
反対に、零落した民衆たちがひたすらすがって生きているジャンマダンに対する「抑制」は、政治権力による搾取の悪辣な本質を鋭く表わしている。
その証拠は最近の市場運営の過程を見ればさらにはっきりする。

八〇年代以前のように、まだ稼動している企業の従業員に忠誠心競争をさせて、松茸採取に強制動員するやり方はもはやできなくなった。計画経済システムの中からは、絞り取ろうにも、もはやカスすら残っていないからだ。
特権集団の外貨調達は、朝鮮の商品を海外に輸出することでやってきたが、最近では、タダ同然で入ってくる食糧など非売品の国際支援物資を、国内のジャンマダンに横流しして高収益を上げる手法を編み出した。
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